2017年02月27日 公開
2023年04月06日 更新
短く、わかりやすい表現をするためには、どうすればいいのか。それは、「3語で伝える」ことです。
といっても、厳密に3語でなければいけないというわけではなく、「主語・動詞・目的語」の3要素で文を組み立てようということです。
学校で習う英文法の用語で言えば、「SVO」の第3文型に当たります。これより複雑な第4文型(SVOO)や第5文型(SVOC)は、できるだけ使わないようにしましょう。
「この形にうまく当てはめられないこともあるのでは?」と思われるかもしれませんが、少しの工夫で、たいていのことは表現できます。
たとえば、「私は彼女の笑顔が魅力的だと思った」は「I found her smile attractive.」と表現する人が多いでしょうが、「主語・動詞・目的語」の形で、「Her smile attracts me.」と言うことができます。このほうがシンプルですし、動詞を過去形にする必要もありません。
もっと込み入った内容の文でも、この形で表現できます。
「この製品の採用により、費用削減を実現します」なら、「The cost cut will be realized by adopting this product.」と受動態を使った表現をしなくても、「This product will cut cost.」でOK。格段に単純化できます。
気づかれた人もいるかもしれませんが、最も重要なポイントとなるのは動詞の選び方です。具体的な意味を持った動詞を選ぶことで明快な文になるのです。
とはいえ、新しい動詞をたくさん覚える必要はありません。have、 use、 needなど、よく知っている、なじみ深い動詞だけでも、幅広い表現をすることができます。たとえば「この製品に問題が生じています」は、haveを使って、「This product has a problem.」と言えます。
また、受動態を避けて、能動態で表現することも重要です。文を短くすることができますし、ダイナミックな印象にもなります。
「短くて明快な表現だと、わかりやすい一方で、ぶっきらぼうで失礼になるのでは?」と思うかもしれませんが、その心配は無用。ビジネスシーンではむしろ明快な表現が好まれますし、短く言うことで時間的な余裕が生まれるので「落ち着いた人」という好印象にもつながります。
たとえば、3語で「We need a discount.(値引きをしてください)」と伝えるだけでは、相手は不快に思うかもしれません。しかし、続けて、「We have a limited budget this year.(今年はもう予算がギリギリなんです)」と、理由を「主語・動詞・目的語」の形で伝えれば問題ありません。
「3語」で1つの文を作ることで、「1つの文につき、1つの情報を伝える」ことにもなります。すると、聞き手にとっても話を理解しやすくなります。コミュニケーションのストレスを最小化する「3語の英語」を、ぜひ活用してください。
《取材・構成:林 加愛》
《『THE21』2017年2月号より》
更新:11月23日 00:05