2017年01月10日 公開
2023年05月16日 更新
本日発売の『THE21』2017年2月号の総力特集「40代からの『英語』の学び方」では、「英語を使うのに語彙はそれほど必要ない」「構文も簡単でいい」ということを識者の方々に指摘していただいている。とはいえ、40代以上ともなれば、ある程度、相手にしっかりとした印象を与えたいところ。そんなときに役立つ「英語の敬語」の使い方を、『英語のお手本』(朝日新聞出版)の著者であるマヤ・バーダマン氏に聞いた。
「英語には、日本語のような敬語はない」と思っている人は多いのではないでしょうか。確かに、「だ/である」と「です/ます」といった文体の違いや、尊敬語や謙譲語のシステム、「御社」「弊社」といった敬語特有の単語は、英語にはありません。「お世話になっております」「よろしくお願いいたします」などの決まり文句も、英語には相当する言葉がありません。
では、英語に敬語がないのかというと、そういうわけではありません。英語にも相手に敬意を示す丁寧な表現があり、ビジネスシーンではそうした言葉を使うことがマナーとされます。
「英語圏の人たちはフランクだ」と思われがちですが、これも誤解。欧米でも、きちんとした場では、くだけすぎたコミュニケーションは避けるのがベストです。洋画では初対面の相手に「ファーストネームで呼んでくれ」と言うシーンがよく出てきますが、現実の場面でこれをすると違和感を持たれます。
本来は礼儀正しい人が、欧米人に合わせようと思って無理にフランクに振る舞うことで信頼を失う、というすれ違いが起こっているとしたら、なんとも残念なことです。
もちろん、「ネイティブスピーカーではないのだから、多少礼儀を欠いた表現をしても許されるだろう」という意見も一理あります。しかし、継続的な関係を築くなら、やはり気持ちをきちんと届ける表現が不可欠。プロフェッショナルとして信頼されるためにも、誠意や敬意が伝わる表現を知っておくことが得策です。
英語と日本語とで違うのは、敬意の表わし方です。
日本語では、尊敬語や謙譲語を正しく使い分けることや、「いつもお世話になっております」などの決まった言い回しを使うことなど、「型」どおりの表現を使うことが敬意を示すことになります。
それに対して、英語にはそうした決まった「型」がありません。むしろ、「型どおりの表現をしない」ことが相手への気遣いになるのが特徴です。
たとえば、「ありがとうございます」を「Thank you.」ですませず、相手のしてくれたことに具体的にひと言触れて、「Thank you for your help.」などと言うことで丁寧な表現になります。つまり、英語で丁寧な表現をするときは、その都度、状況に即した言葉を考えて、相手に伝えるのです。このように、相手の行為や状況に即して言い方にひと工夫加えることを「パーソナライズ」と言います。
こう聞くと大変だと思うかもしれませんが、まったく心配はいりません。新たに単語や文法を暗記する必要はなく、よく知っている単語の組み合わせによって、簡単に表現できるからです。
更新:11月22日 00:05