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星野リゾートの現場力(7)青森屋の「みちのく祭りや」

2017年01月27日 公開
2023年05月16日 更新

星野佳路(星野リゾート代表)

地元愛溢れる若手スタッフの演奏と踊り

日本を代表するリゾート運営会社・星野リゾートでは、「遊び」や「楽しみ」の中に仕事のヒントを見つけたり、逆に仕事をきっかけとした趣味を楽しんだりしている社員が多いという。本連載では、そのような「遊びと仕事」の融合の事例を、代表の星野佳路氏のコメントとともに紹介。第7回は、「星野リゾート 青森屋」から、地元を愛しUターン就職した若手社員の意気込みをレポート。《取材・構成=前田はるみ》

 

青森文化の発信を担う地元出身の若手スタッフ

青森の文化を丸ごと体験できる温泉宿として観光客に人気の「星野リゾート 青森屋」。青森の夏祭りを一年中楽しめるショーレストラン「みちのく祭りや」など青森ならではのコンテンツに加え、旅館スタッフの九割を地元出身者が占めており、青森を愛するスタッフが方言を話しながら提供するサービスもこの旅館の大きな魅力である。

みちのく祭りやでホールスタッフ兼ステージ演奏を担当する入社3年目の武田志織氏も、「地元に関わる仕事がしたい」と青森に戻ってきたUターン組である。幼い頃から家族でねぶた祭りに参加し、暮らしの中に祭りがある環境で育った。青森を愛し、青森のために働いてきた父への憧れもあったという。いったんは大学進学で首都圏に出たが、「地域文化を発信する仕事に就きたい」と星野リゾートに入社。自ら青森屋への配属と、みちのく祭りやでのステージ演奏を希望した。

「好きな青森の祭りに関わりながら、それをお客さまに知ってもらう今の仕事は楽しいですし、やりがいを感じます」

みちのく祭りやのショーを盛り上げるのは、旅館スタッフである。武田氏は手振り鉦と笛の演奏でステージに立つ。もう一つの祭りの楽器である太鼓を先輩スタッフから習っており、いずれ三つの楽器の演奏技術を受け継ぎたいと考えている。

 

大好きな「踊り」で青森文化をアピール

今、自分のテーマとして取り組んでいるのが、青森に昔から伝わる手踊りである。青森屋のショーで初めて手踊りを見て、その美しい所作に魅了されたという。子供の頃からクラシックバレエやダンスに親しんできたこともあり、血が騒いだのだ。

「手踊りは地元の人でも知らない人が多く、青森屋のショーでもマイナーな存在です。まずは私が手踊りを極めて、いずれねぶた祭りに負けない青森文化として、その魅力を発信していきたい」と旅館の仕事の合間をぬって手踊り教室に通っている。

レストランのホール業務とステージ演奏に加え、楽器や踊りの練習――一人何役もこなし多忙な毎日だが、「好きなことなので楽しいですし、ストレス発散にもなっています」と笑う。身体的にはきついと感じることもあるが、「お客様がとても喜んでくださるのを見ると、『もっと頑張ろう』と思えます」。

青森屋に配属されて2年目。「地域文化の発信を、大好きな地元青森でまずは試してみたい」と意気込む。外国人のゲストにも日本人ゲストと同じようにサービスできるよう、今夏から語学学校にも通うつもりだ。

「将来、他の地域でも試してみたい気持ちはあります。地域の祭りには踊りが必ずあるので、踊りに関わりながら地域文化を発信していけたらいいですね」

 

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著者紹介

星野佳路(ほしの・よしはる)

星野リゾート代表

1960年、長野県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業、米国コーネル大学ホテル経営大学院修士課程修了。日本航空開発(現・JALホテルズ)に入社。シカゴにて2年間、新ホテルの開発業務に携わる。89年に帰国後、家業である㈱星野温泉に副社長として入社するも、6カ月で退職。シティバンクに転職し、リゾート企業の債権回収業務に携わったのち、91年、ふたたび㈱星野温泉(現・星野リゾート)へ入社、代表取締役社長に就任。

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