2017年02月22日 公開
2023年04月06日 更新
新たな英単語を「増やす」よりも、まずは知っているつもりで使いこなせていない基本的な単語を「深める」ことが重要だと、わかっていただけたと思います。そのうえで、よりいろいろなことを書いたり話したりするためには、語彙を「増やす」ことも必要になってきます。
実は、脳は3~5桁の数字や、3~5文字くらいの短い情報なら、苦もなく記憶できます。逆にいうと、なかなか覚えられないのは情報が長すぎてオーバーフロー(処理能力を超えてあふれること)してしまっているから。
たとえば、「271」という数字はすぐに覚えられますよね。では、「192967231487」はどうでしょうか。すぐには頭に入らないかもしれません。しかし、これを「1929-6723-1487」と区切ってみるとどうでしょう。かなり覚えやすくなったのではないですか。
これと同様に、長い単語は短く区切って覚える方法が有効です。たとえば、Wednesday(水曜日)なら、「Wed-nes-day」と区切ってみるだけで、つづりがずっと頭に入りやすくなります。
また、語幹や接頭辞、接尾辞などの語源を活用すると、単語の意味が分かりやすくなります。例えば、transfer(転勤する)という動詞の語源が「trans(越えて)+fer(運ぶ)」だと分かれば、ラクに覚えられませんか? また、語源つながりで芋づる式に別の単語を覚えていくこともできます。
さて、「覚える」ことよりも大事なのは記憶を定着させ「忘れない」ようにすることです。新しい単語は一度覚えたら、1、2時間以内に復習します。これを1日のうちに何度か繰り返します。この繰り返しが楽にできるようになったら、1日置いてから同じことをやってみる。1日空けても問題なく思い出せたら、2、3日空ける。このように繰り返せば記憶は効率的に定着させられます。
語彙を「増やす」ために、多くの人が市販の単語集を買ってきて覚えようとすると思います。ですが、そのような単語集は誰かが覚えるべき単語を選んで作ったもの。そこには知らない単語や興味を持ちづらい単語も数多く載っていることでしょう。そうなると、覚えることが苦行となってしまいます。
私がお勧めするのは、覚えたい単語を自分で見つけてきて自分なりの単語帳を作ること。大変に思えるかもしれませんが、記憶効率は圧倒的に良いと思いますので、ぜひ楽しんでやってみてください。
脳は自分にとって大事な情報を記憶に残すようにできています。大事な情報とは「登場する頻度」や「興味や関心の度合い」が高いもの。つまり、あなたが興味や関心を持っている物事を脳は「自分にとって大事だ」と判断して記憶に残そうとします。
たとえば、プロレスが好きな人だったら、プロレスに関する単語を覚えれば良いのです。「それでは知識が偏るのではないか」と思うかもしれませんが心配いりません。
プロレスのことを語ろうとすれば文法や発音が必要になり、自然に学ぶようになります。プロレス好きの仲間ができれば、プロレスの話題はもちろんのこと、それ以外のことも話したくなるものです。そうなれば、結果的にバランスよく英語を学ぶことになります。
最初から「TOEICのために単語を覚えよう」などというところから入ってしまうよりも、「好きな分野」を入り口にした方が、上達は速いのです。
《『THE21』2017年2月号より》
更新:11月23日 00:05