2016年12月13日 公開
2023年05月16日 更新
会議は踊る、されど進まず。この言葉が象徴するように、何も決まらない会議は、時間のムダ。しかし、正しい手法で会議が行なわれれば、これほど有効な解決策はないと語るのは、経営戦略のプロフェッショナル・杉野幹人氏。会議のムダが生じる原因とその解決法をうかがった。
※ 本稿は、『THE21』2016年12月号より、内容を一部抜粋・編集したものです。
不毛な議論に退屈し、だんだんイライラしてくる……。会議にそんなイメージを抱き、「会議はそもそもムダなもの」だと考える人は少なくありません。
しかし、会議は本来、組織に必要不可欠なものです。さらに言えば「優秀な組織であるほど必須」なのです。
優れた組織は、各部門に属する人材の専門性が高くなります。開発・調達・営業など、それぞれの分野に知識やスキルを極めた精鋭が揃えば揃うほど、組織の戦力は強くなります。
しかしそれは一方で、必然的に「分業化」という流れも生み出します。結果、部門をまたがる大きな問題の解決が難しくなってきます。
これは専門化のための分業が進んだ優れた組織ほど顕著です。そんなときに、効力を発揮するのが会議です。専門家を集め、専門家のそれぞれが知恵を出し合うことで、大きな問題の解決が図れます。
そう考えると、会議が持つ本来の意義も見えてくるでしょう。そう、「問題解決」こそが会議の目的です。ここを押さえていない人が多いがゆえに、ムダが発生するのです。そのパターンは、大きく2つに分けられます。
ひとつは、「会議とは呼べない集まり」、つまり解決すべき問題が存在しないのに開催される「会議モドキ」です。情報共有のための報告会、指示命令を共有する連絡会、アイデアを出し合う検討会などが該当します。
これら会議モドキはそもそも集まる必要がありません。メールで事足りるはず。それにより、「会議モドキ」は一掃できます。
もう1つは、「開催の必要はあるが方法が誤っている」パターン。解決すべき問題は存在するものの、会議の仕方が間違っているためにムダが発生する状態です。
このパターンをさらに細かく見ると、段階ごとに「間違いのモト」があることがわかります。それが、次にくわしく解説する「4つの失敗」です。
(1)目的設定の失敗
(2)目的と議題の不一致
(3)議題と資料の不一致
(4)議題とメンバーの不一致
この4項目が、それぞれ因果関係にあることにお気づきでしょうか。(1)解決すべき問題を正しくとらえていなければ、(2)正しく議題を設定できず、(3)議題に沿った資料作成や、(4)議題にふさわしいメンバー招集もできなくなる、というわけです。
これらを踏まえて、中間管理職の方々にはぜひ、本来あるべき「正しい会議」の担い手となっていただきたいところです。
その際、「私には能力がないから」「リーダーシップがないから」などと考えるのは禁物です。必要なのは、才能やセンスやカリスマ性ではありません。会議の進め方とは、知識と習熟によって、誰でも身につけることのできる「技術」です。
その技術を使うことで、会議は問題解決の武器へと変貌します。「ムダ」どころか、チームを最短で目的へと導く場となるでしょう。
更新:11月22日 00:05