2016年10月13日 公開
2016年11月14日 更新
こうした状況を変えるには、まず自分の本音に目を向け、自分の限界を認めることから始めてください。そのためには、友人や家族といった自分に寄り添ってくれる相手に、本音を素直に語ってみることをお勧めします。言葉にするだけでも頭の中が整理されて、気持ちがラクになるからです。身近な人に弱みを見せるのはどうしても抵抗があるなら、今は地方自治体が開設している無料の相談窓口もありますから、そこに匿名で電話をかけるのもいいでしょう。
そして普段の会話では、「ありがとう」という言葉を積極的に使ってみてください。これは感謝の言葉であると同時に、自分の気持ちを肯定的に保つ効果があります。たとえば上司から抑圧的な物言いをされたときも、「嫌なやつだ」と思うと自分のストレスが増すだけなので、「貴重な助言をありがとうございます」と言ってみる。部下に対してつい怒ってしまったときも、「いろいろ言ったけれど、聞いてくれてありがとう」と言ってみる。職場だけでなく家庭などにおいても「ありがとう」と口に出すだけで、自分も相手も心が軽くなるはずです。
いずれにしても、自分がストレスで弱っていると感じたら、「自分がラクになるにはどうしたらいいだろう」と考えてみること。「頑張らないこと=怠けること」と考える人は多いのですが、私は「スピードを落とすこと」と捉えています。走りやすい直線の道を進むときは、できる限りスピードを上げればいい。でもカーブに差し掛かったら、誰でもスピードを落とすでしょう。
難しい局面を猛スピードで突っ走れば、曲がりきれずに崖から転落するだけ。最終的なゴールに到達することを目指すからこそ、途中でスピードを落とすことも必要なのです。ぜひみなさんも、常に頑張ることがベストではないと理解して、「タテ・モード」と「ヨコ・モード」をうまく切り替えてください。
《取材・構成:塚田有香》
《『THE21』2016年10月号より》
更新:11月25日 00:05