2016年09月10日 公開
2023年05月16日 更新
そんな中村氏が最もこだわっているのは「荷物の軽量化」だという。
「どんな長期出張でも、荷物は機内持ち込みが可能なコンパクトサイズにまとめるのが大原則です。手荷物受け取り時間のムダがなくなり、ロストバゲージの心配もありません。発展途上国になればなるほど、待ち時間は長くなり、紛失リスクが高まるのが現実です。ここでイライラしてしまっては、ストレスは溜まる一方。手荷物だけならストレスなくさっと空港を出ることができます」
ただ、長期の出張、とくに北から南まであちこち飛び回っていると、荷物を減らすのは大変そうだ。
「確かにヨーロッパからアフリカへ、あるいはロシアからシンガポールへ、といった出張の際は、温度差は時に50度以上にも及びます。コツは、かさばる厚手のコートは用いず、薄手のウェアを何枚も持っていくこと。これはアウトドアで活用される『レイヤリング』のノウハウなのですが、厚手のコートよりよほど暖かく、枚数を増減することで細かな調整もできるのです」
氷点下のロシアでも、4枚重ねの防寒着で適応可能。ユニクロのカシミヤニット、ダウンベスト、小さく折り畳みできるウインドブレーカー、ダウン入りのステンカラーコートの4着。そしてニット帽子。寒暖に合わせて組み合わせを変えることで、多様な気候にも対応できる。
中村氏は経営者でもある。これだけ出張が多い中、部下のマネジメントをどうこなしているのだろうか。
「先ほども申し上げたように、月曜の定例会議はなるべく会社にいますが、それ以外は電話、スカイプ、メールをフルに活用すれば、十分にコミュニケーションは取れます。一つポイントがあるとすれば、『自分のスケジュールをオープンにしておく』こと。そうすれば部下は、『社長はこの時間は空いているな』ということがわかるので、連絡しやすくなるからです。
また、私は出張というのは、部下育成の絶好のチャンスだと思っています。社内ではどうしても慌ただしく時が過ぎていきますが、出張中は空き時間が多いので、仕事の合間合間にいろいろなことを伝えられます。また、時にはホテルでゆっくり酒を飲み交わしながら、より深い話もできるでしょう。そして何より、24時間寝食を共にすることで、部下との間の絆も深まります。みなさんもぜひ、『出張』をマネジメントにも役立ててほしいと思います」
キャリーバッグ
キャリーバッグはRIMOWAのサルサデラックス61Lを愛用。軽量なポリカーボネイト素材でキビキビ動く4輪トローリー。ぎゅうぎゅうに詰め込んでも壊れないのが最大の魅力。中身は防寒着と7日分の下着、ワイシャツ4枚、カジュアルシャツ3枚、ボトム3本、ネクタイ3本、運動靴などを詰め込む。これで3週間の出張も十分(*航空会社によっては機内に持ち込めないことがあります)。
サブバッグ
サブバッグとして持つのが、TUMIのビジネスバッグALPHA2シリーズ。TUMIは撥水性が高く、酷使に耐える丈夫な素材で、電子機器用のスリーブ、大小のポケットなど、使い手のことを実によく考えて作られているという。マチが伸縮するので、お土産などで荷物が増えたときに収納力がアップするのもありがたい。アイテムごとに収納場所を決めておくことが、旅先で慌てないポイントだという。
中村氏が常に持ち歩く出張グッズ。スマホは常に2台持ち。1台は連絡用で、もう1台はカメラ代わり。他にPC、iPad各1台、Wi-Fiルーターが基本アイテム。絶対に忘れてはならないのは、世界中の電源プラグに対応できる「マルチアダプター」。また、I Cレコーダーは、非英語圏の人との交渉シーンで重宝。聞き間違いや齟齬が生じたときに役立つ。
(『THE21』2016年4月号より)
(取材・構成:麻生泰子、写真撮影:まるやゆういち)
更新:11月23日 00:05