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プライドはヨーロッパ。へ理屈はアジア(トルコ)

2016年09月06日 公開
2021年08月30日 更新

<連載>世界の「残念な」ビジネスマンたち(13)石澤義裕(デザイナー)

ドライブマナーはすでに「EU入りレベル」


ラマダン時期は、空腹なので働かない人が多い。レストランのまわりで、日没を待つ毎日。

トルコの野望といえば、EU入り。
アジアを卒業し、ヨーロッパへの看板替えを狙っています。

大人の階段はほぼ上りきったようですが、思春期にありがちな背伸び感が見え隠れし、やや課題が残っているようです。

プライドはヨーロッパに追いつき、へ理屈はアジアのまま。
見た目は大人ですが、言い草は子どもだったりするのです。

ドライブマナーは、ほとんどヨーロッパの域に達しました。
サハリン島から西は、傍若無人な仁義なき公道レース。なんびとたりとも前を走らせねぇ!とポールポジションを争っていましたが、トルコで因襲が途切れました。

逆走する車はなく、白線に沿って車を駐車する能力があり、交差点で道を譲られたのは日本を出てから初めてです。
逆に、妙に遅い車がいるものだとクラクションを鳴らしそうになったとき、制限速度なるものを教えられました。

小学生による大型トラックの運転を禁止すれば、拙者からもEU入りを推薦したいです。

 

煮込み料理で火事になる!?


どこのレストランも、猫には寛大。

カフェや食堂は、接客業に昇格しました。
旧ソ連系にありがちな、威張りくさった高級官僚系接客術ではありません。
テーブルを拭くときに、パン屑を床に落とさない気遣いがあります。

ワインを注ぐ前にグラスの汚れに気づく観察力と、決して謝りはしないけれど取り替える勇気。手前みそな暗算で、驚くほどお釣りが少ないということもありません。

ただメニューを持ってきたウェートレスに料理をオーダーしたら、
「ご注文はシェフにお願いします」
よくわからないセクト主義に、困惑させられます。

宿などの建築物は、欧米並みのクォリティです。
柱や壁は水平垂直に建ち、階段の段差は揃えられ、ドアは普通に開き、閉まります。構造計算くらいしているのかもしれません。
ただ屋根裏部屋のキッチンは、新宿消防署の検査は通らないでしょう。
ガス台から30cmで斜め天井。しかも木製。陽当たり最高のトルコですから、乾燥感はんぱないです。

煮込み料理で、家が燃えます。

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著者紹介

石澤義裕(いしざわ・よしひろ)

デザイナー

1965年、北海道旭川市生まれ。札幌で育ち、東京で大人になる。新宿にてデザイナーとして活動後、2005年4月より夫婦で世界一周中。生活費を稼ぎながら旅を続ける、ワーキング・パッカー。

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