少女漫画の編集がしたくて出版社を志望し、何かのご縁でビジネス誌の編集を担当しております、20代の男Nです。
初回ということで、「そうだ、出版社に入ろう」と思いたった作品をご紹介します。畏れ多くもその一冊とは、巨匠・萩尾望都先生の短編「半神」です。
物語の主人公は、結合双生児として双子の妹ユーシーとつながった姉のユージー。妹のユーシーは美しい容姿でみんなから愛されていますが、ユージーは妹に養分を摂られて醜く痩せ衰えています。
ユージーは、妹や自分の境遇に憎しみを抱え生きていますが、やがて双子は成長し、分離手術を受けることに。手術をきっかけに、ユージーは美しくなっていく一方、ユーシーは醜く痩せ衰えて行きます。その姿に、ユージーはかつての自分の姿を重ね合わせ、さまざまな思いを巡らせます。
とくに注目したいのは最後の1P、ユージーのセリフ。血のつながった姉妹への愛と憎しみをここまで強烈に表現した絵とセリフは他にないのではないでしょうか。個人的には、一部の少女漫画は文学だと思っています。こんな作品を生み出す人と一緒に仕事をしたい! と思えた作品です。
執筆:THE21編集部 N(「漫画」担当)
更新:11月23日 00:05