2016年04月27日 公開
2022年10月27日 更新
世間には古今東西、さまざまな名言が溢れている。それを、心に響く言葉として記憶するだけではもったいない。その名言が生まれた背景を知ることで、その言葉は何倍にも実になるのだ。では、どのようにすれば「名言」が活かせるのか――。国内外の名言に精通する竹中平蔵氏にうかがった。
名言が人に与える影響はさまざまです。あるときは悩みを晴らし、あるときは忘れかけていた信念を思い出させる。また、世の人が漠然と感じている本質を、端的な言葉でズバリと言い表わしていることもあります。
たとえば、明治時代を生き抜いた、文人であり思想家の岡倉天心は「変化こそ唯一の永遠である」と言いました。「永遠のものなどないのであって、あるとするならばそれは変化することだ」と、鋭い反語表現で世の本質を突いた言葉です。
これは、岡倉天心が記した『茶の本』にある一節ですが、この言葉の前に「我々は、我々の歴史の中に、我々の未来の秘密が横たわっているということを本能的に知る」と書かれています。岡倉天心は、文人として歴史や哲学に通じていましたが、歴史から未来が見通せるのだということを示唆しています。
現在、私たちを取り巻く環境は大きく変化しており、企業も個人も、先行きを見通せない時代と言えるでしょう。そうしたとき、過去の歴史の中に未来を紐解くヒントがあるのだということがわかります。
そして、そんな歴史の転換期を生き抜いた偉人や経営者たちが、何が起こるかわからない時代──予測不能な極限の状況の中で放った言葉には、深い含蓄と強い力が備わるのです。これが、その言葉が「名言」として後々まで語り継がれ、今を生きる私たちの心をも震わせるゆえんでもあります。
更新:11月25日 00:05