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会社員に「がん保険」はいらない?

2016年04月21日 公開
2023年05月16日 更新

佐藤敦規(FP・社会保険労務士)

療養しながら働き続けるための選択肢とは?

治療法などの進歩により、がんは今や「長く付き合う病気」になりつつある。だが、だからこそ問題となるのが長期にわたる治療の金銭負担だ。しかも、職場復帰をしたからといって、今までと同じように働くのはなかなか難しい。
それに備えるために「がん保険」に入る人も多いが、実はその前に考えるべき方法があるという。病気になる前に知っておきたい「いざというとき」の知識を、
『税理士ツチヤの相続事件簿』シリーズで知られるファイナンシャルプランナーの佐藤氏に教えてもらった。

 

死亡より「長期療養」のほうが負担が大きい現実

がんは死なない病気になってきている。今年の1月に公表された国立がん研究センターのデータによれば、がんと診断された患者が10年後も生きている「10年生存確率」は58.2%である。それに伴いがんの治療は、入院から通院中心に変化している。嬉しい知らせだが、新たな問題が発生している。

FPとして世帯主のお客様と面談していると「がんなどの難病にかかり長期に治療するケースが一番困る」と口にされる人は多い。不謹慎な話だが、持ち家がある公務員や会社員の世帯主が亡くなっても、残された家族は意外と困らない。住宅ローンは団体信用生命保険で相殺される。国からは遺族年金が支給される。会社からも死亡退職金や弔慰金が支給される場合もある。さらに保険会社の生命保険に加入している人は、死亡保険金も出るからだ。

一方、病気などで離職しても住宅ローンは払い続けなければならない(三大疾病特約などによりカバーされる団体信用生命保険商品もあるが)。一家の大黒柱であるあなたの収入が途絶えた。遺族年金や生命保険はもちろん支給されない。子供の教育費もある。心配するのは当然だ。

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「がん保険」の加入者は増えているが…… >

著者紹介

佐藤敦規(さとう・あつのり)

FP・社会保険労務士

1964年東京生まれ。中央大学卒業後、パソコン関連誌の編集に携わる。30代中盤からは印刷会社に勤務し、テクニカルライターとして家電製品からシステム関連まで100種類以上の取扱説明書を作成。2年前よりFP・社会保険労務士に転向。のべ700人以上のライフコンサルタントを行っている。著書に『税理士ツチヤの相続事件簿』(星雲社)などがある。

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