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会社員に「がん保険」はいらない?

2016年04月21日 公開
2023年05月16日 更新

佐藤敦規(FP・社会保険労務士)

「がん保険」の加入者は増えているが……

こうした中、加入者を増やしているのが「がん保険」だ。がん保険に加入している人、または生命保険や医療保険に特約を付けている人の割合は平成16年、25.3%であった。
平成19年は31.2%、平成22年は33.1%、平成25年は37.3%と上昇し続けている(生命保険文化センター調べ)。がんと診断されたときに給付金が支給される、通院した日に給付金を支給される等の特約が用意され、内容的にも豊富なものとなっている。

「国の健康保険には高額療養費制度があるので医療保険は不要」と言いつつも、がん保険には加入している人がいる。粒子線治療など健康保険の対象外となる高価な治療に備えるためということもあるが、離職による収入減を補ってくれることを期待している。
たしかに診断されたときに100万円ほどの金額を受け取れれば、当面の生活費にはなる。しかし、100万円で足りるかという問題もある。そこで200万円、300万円と給付金を増額すれば、毎月支払う保険料も高くなる。

もし、あなたが会社員(公務員)であれば、「がん保険に加入しない」という選択肢もある。実は、仕事とがんの治療を両立できる仕組みが整備されつつあるのだ。以下のような制度があることを確認した上で、加入するか検討してもよい。

 

国は「病気による離職」を減らそうとしている

まず、知っておきたいのは、国の主導で「離職しなくてもいい仕組み作り」が勧められていることだ。

今年の2月、厚生労働省は「事業所における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」を公表した。すでに仕事をしながらがんの治療を続けている人は32.5万人にものぼるが(平成22年国民生活基礎調査)、意に反して退職する人も多い。このガイドラインは、がんにかかった従業員を解雇しないよう努力することを事業主に対して求めるものである。脳卒中、肝炎、糖尿病などがん以外の難病も対象としている。一方、労働者に対しても同僚や上司に一時的に負荷がかかることから、可能な限り情報を開示することを求めている。

短時間制度、時差出勤制度、在宅勤務などの手段により、がんなどの難病にかかった人の職務負担を軽くするしくみを職場で導入するように示している。職場復帰のために必要な職場適応の措置を実施した事業主へ支給する“事業障害者職場復帰支援助成金”のような金銭的なサポートもある。

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現実を見据えれば「障害年金」という選択肢も >

著者紹介

佐藤敦規(さとう・あつのり)

FP・社会保険労務士

1964年東京生まれ。中央大学卒業後、パソコン関連誌の編集に携わる。30代中盤からは印刷会社に勤務し、テクニカルライターとして家電製品からシステム関連まで100種類以上の取扱説明書を作成。2年前よりFP・社会保険労務士に転向。のべ700人以上のライフコンサルタントを行っている。著書に『税理士ツチヤの相続事件簿』(星雲社)などがある。

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