2016年04月15日 公開
2022年06月07日 更新
「とげとげした家庭で育つと、子どもは乱暴になる」
「親が他人をうらやんでばかりいると、子どもも人をうらやむようになる」
「和気あいあいとした家庭で育てば、子どもは、この世の中はいいところだと思えるようになる」
これらの言葉は、アメリカの教育家、ドロシー・ロー・ノルト博士と精神科医のレイチャル・ハリス氏の著書『子どもが育つ魔法の言葉』に記されているものです。
いずれも、わが子を、特に女の子を、幸せな人生を送ることができる人間へと育てるうえで、鍵となる要素だと思います。
本書のテーマである「パパの習慣」で言えば、仕事での問題や職場でのトラブルを家庭に持ち込み、イライラしているパパ、「あいつはいいよなあ」などと先に昇進していく同期や後輩をうらやんでばかりのパパ、あるいは、些細なことで感情的になったり、表情が冴えないことが多かったりするパパだと、子どもは、
「家族って、いいものだ。家庭は居心地のいい場所だ」
と思えなくなってしまいます。
次の調査結果を見てください。これは2015年8月、国立青少年教育振興機構が、日本、アメリカ、中国、韓国の4か国の高校生を対象に調査したものです。
◆国立青少年教育振興機構「高校生の意識と生活に関する調査報告書」で、「とてもそう思う」と回答した子どもの割合
◎家族との関係が良好である
日本=40.2%/アメリカ=54.4%/中国=60.6%/韓国=45.0%
◎親(保護者)を尊敬している
日本=37.1%/アメリカ=70.9%/中国=59.7%/韓国=44.6%
◎どんなことをしてでも自分で親の世話をしたい
日本=37.9%/アメリカ=51.9%/中国=87.7%/韓国=57.2%
この調査は、女子高校生だけを対象にしたものではありません。ただ、高校生の意識から見る親子関係は、日本が他の3か国に比べ、もっとも希薄であるという傾向は読み取れるのではないでしょうか。
この調査では、人生目標や自分についても尋ねているのですが、日本の場合、円満な家庭を築きたいと考える子の割合や、自分に自信を持っている子の割合が低いという結果が出ています。
これらの結果から見ても、日本の各家庭には、日々の家族での生活を子どもに「いいものだ」と思わせ、親子関係を楽しく、また深いものにしていくための工夫が求められているように思えてなりません。
私はしばしば、中学受験で首都圏最難関と呼ばれる私立や国立の中学校に合格した子どもの家庭を取材することがあります。
なにも、「難関中学に合格したこと」=「幸せな人生が約束された子ども」とは限りませんが、そのなかでも「この子はしっかりしているし、とてもいい子だな」と感じる子どもの家庭は、ほとんどと言っていいほど、パパの存在がいい形で効いていることに気づかされます。
仕事だけでなく、家族でのイベント、学校や地域の行事などにも前向きに取り組むパパ。妻や子どもの話にはしっかり耳を傾けているパパ。あるいは、細々としたことを言いすぎず、子どもを信頼し、任せる部分は任せてきたパパ。
なかでもそういうパパには、3つの共通点があるように感じています。
○表情が明るい(笑顔がいい)
○性格が前向き(考え方がポジティブ、行動的、協力的、趣味を持っている)
○強要しない(人間としての器が大きい、神経質ではない、権力的ではない)
いずれも家庭の雰囲気を明るく保ち、子どもに「家庭=居心地のいい場所」と思わせるムード作りには不可欠な要素です。
特に女の子の場合、パパのこうした姿勢が、家庭を持つことへの憧れや自分に合った職業観や社会観を持つことにつながっていくように思います。
近頃、パパのなかには、ママ以上に、子どもの学力が気になるという方も増えているようですが、私としては、まず、世の中のパパたちには、
「どうすれば、わが家をもっと明るく楽しい場所にできるか」
を考えるプロデューサー的存在であってほしいと思います。
更新:11月22日 00:05