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声に「スーツ」を着せれば、会話は一気に盛り上がる

2016年05月21日 公開
2023年05月16日 更新

魚住りえ(フリーアナウンサー)

 

音読ではなく「朗読」の練習を

 以上のことを確実に実践するためには、日頃から小さなトレーニングの習慣を持つことが重要だ。

「最も簡単にできるのは、自分の声を録音することです。スマートフォンのボイスレコーダー機能などを使って、自分の声を録って聞いてみましょう。自分で思っている以上に暗く沈んだ話し方をしているんだな、と気がつくはずです。『えー』『あのー』といった悪い口癖にも気づけるでしょう」

 新聞記事などの文章を声に出して読む「朗読」も非常に効果的だという。

「単に文章を音にするだけの音読と違い、朗読は人に聞かせることを意識して読むものです。そのためには、内容を深く理解し、キーワードやキーセンテンスを意識し、強調するポイントを考えながら読むことが必要。どこでトーンを上げるか、どこで間を取るか、といった工夫をしながら読むわけです。

 朗読を録音して、自分で聞く。これを毎日3分続けるだけで、グッと表現力が上がります」

 自分が理想とする声を真似るのも良い方法だ。

「周囲に心地よい声の人がいれば、積極的に会話し、話し方を取り入れてください。

 政治家や文化人など、有名人をお手本にするなら、動画サイトで繰り返し映像を視聴しましょう。ワンセンテンスずつリピートするのもいいですが、ただ観るだけでも効果があります。理想の話し方や声を身近に置き、いつでも聞けるようにすることが大切なのです。こうした環境作りは、自然に、そして確実に、声に良い影響をもたらすでしょう」

 

《取材・構成:林 加愛 写真撮影:永井 浩》
《『THE21』2016年5月号より》

著者紹介

魚住りえ(うおずみ・りえ)

フリーアナウンサー

大阪府生まれ、広島県育ち。1995年、慶應義塾大学卒業後、日本テレビにアナウンサーとして入社。2004年に独立し、ドキュメンタリー番組『ソロモン流』(テレビ東京系列)のナレーションなど、500本を超える作品に携わる。現在はボイスデザイナー・スピーチデザイナーとして、「魚住式スピーチメソッド」に基づく話し方の指導も行なっている。著書に『たった1日で声まで良くなる話し方の教科書』(東洋経済新報社)がある。

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