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ズルい! 発想術

2016年03月02日 公開
2023年05月16日 更新

加藤昌治(博報堂PR戦略局)

つまらないアイデアもどんどん提出

 良い(かどうかはともかく)アイデアを短時間で量産するポイントがあります。1つは、描き出したアイデアの良し悪しを自分で一人で勝手に良し悪しを判断せず、すべてを企画会議に提出することです。なぜかというと、自分では「つまらない」と感じるものでも、他の人が「面白い!」と判断することがよくあるからです。会議の参加メンバーが、あなたのアイデアに触発され、違うひらめきをして、面白いアイデアがその場で生まれてくることもあります。人に見せなければこのような機会も失われます。これは大きな損失でしょう。

「発表するからには、それなりのレベルにしないとまずい……」と思うかもしれませんが、その考え方は、良いアイデアを生み出すどころか、障害になると言っても過言ではありません。

 それに、大量に提出すれば、つまらないアイデアは無視され、良いアイデアだけが議論の対象になるので、人格までは傷つかなくても済みます(笑)。ぜひトライしてみてください。似たアイデアを一くくりにしてはいけない

 もう1つは、似たアイデアの抽象度を上げて一くくりにしないで、別のものとして提案すること。

 たとえば、新商品開発の企画会議で、「シーザーサラダ」「ツナコーンサラダ」「海藻サラダ」というように、ちょっとの違いを堂々と別の案として数えます。サラダという、抽象度の高い概念でアイデアをまとめてはいけません。上司に「全部一緒じゃないか!」と突っ込まれるかもしれませんが、本当は上司が間違い。これはアイデアの水増しではないのです。細かな違いに着目することで、新製品の可能性が生まれます。

 「そういえば、ラム肉サラダってないよね」などと、アイデアが広がっていくこともあります。「具体的に描くと、あれこれ否定されるから」と抽象度の高いアイデアしか出さない人もいますが、それだとアイデアの量は増えませんし、発想も広がりません。勇気を持って、具体化しましょう。前述したように、アイデアを大量に出せば、否定されても傷つかないものです。

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公私混同はアイデア量産の奥の手? >

著者紹介

加藤昌治(かとう・まさはる)

〔株〕博報堂PR戦略局 部長

1970年、大阪府生まれ。94年、〔株〕博報堂入社。情報環境の改善を通じてクライアントのブランド価値を高めることをミッションとし、マーケティングとマネジメントの両面から課題解決を実現する情報戦略・企画を立案、実施する毎日。著書に『考具』『チームで考える「アイデア会議」 考具応用編』(ともにCCCメディアハウス)などがある。

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