2015年10月22日 公開
精神を擦り減らすハードワークのイメージが強い外資系企業。そのストレスに耐えて成果を上げるためには、どれほどの「メンタルの強さ」が必要なのだろうか? アップル日本法人社長を務めた山元賢治氏に、世界で通用するメンタルのあり方をうかがった。
取材の冒頭、「『いかにメンタルを鍛えるか』というテーマは、米国では話題にならないと思います」と山元賢治氏は指摘した。どうやら、「メンタルの鍛え方」に関心が集まること自体に、私たち日本人の弱点が現われているようだ。
「メンタルを強くしたいという人には、ほとんどの場合、『他人に良く思われたい』『他人にどう思われるか不安だ』という発想があるのでしょう。
他人からどう思われているかが気になって、他人の評価に一喜一憂し、喜んだり凹んだりするのは、自分の中に『何になりたいか』がないからです。
日本人はほとんどが、『どの会社に入りたいか』はあるとしても、『何になりたいか』という目標がないままに社会に出てきます。不思議な国ですね。
でも、実際の社会では、自分の人生は自分で切り拓いていくものです。『どうなりたいか』『どうなったら成功か』という目標が自分の中にあって、蛇行しながらも、そこに向かって進んでいく。その意識があれば、他人がどう言おうと気にならないでしょう。
その目標に向かっていく途中で遭遇する困難を乗り越えるためのメンタルの強さは必要です。つまり、『なんのためにメンタルの強さが必要か』というWHYが重要。しかし、WHYがないのに、『どうやってメンタルを強くするか』というHOWにばかり注目するのは、日本人の特徴ではないでしょうか」
もう1つ、山元氏が大事な前提として指摘することがある。
「万人に好かれようとしても、それは無理です。私はよく、『課長になったら5割、部長になったら7割、社長になったら9割の人に悪口を言われていると思え』と言っています。
人間に嫉妬はつきもの。とくにリーダーに対しては妬みも強い。他人の上に立ちたい、他人より成果を上げたい、他人より高い給料がほしいと思うのなら、他人にどう思われるか、何を言われるかを気にしていてはダメ。そこを気にしすぎる人が、メンタルの部分で潰れていくのでしょう。万人に評価される人間はいないし、そんな方法はないのです」
更新:11月21日 00:05