2015年07月14日 公開
2023年05月16日 更新
「会社に嫌われる高齢者」と「会社に好かれる高齢者」をひと言で表わすなら、前者は「会社人」、後者は「仕事人」になります。
会社人は価値観が会社中心で、組織への忠誠度が高いほど評価されると考えています。だから六十歳を迎えると、「今まで会社に貢献したのだから、あとの5年間はご褒美みたいなものだろう」と勘違いをして、ただ会社に居座るだけの人材になってしまいます。しかし、成果を出さない社員を雇い続けるほどの余裕がある企業はほとんどありません。会社が期待する役割を果たせない高齢者は、当然評価されず、雇用継続も危うくなる可能性があります。
それに対し、もし今の会社を辞めても、自分で稼げるだけのスキルや専門性を身につけているのが「仕事人」です。組織にしがみつこうという甘えがなく、どんな環境でも自分の力を発揮して成果を出せる。こんな高齢者なら、企業が高く評価するのも当然でしょう。皮肉なようですが、会社に評価されたいなら、「会社人」ではなく「仕事人」になる必要があるのです。
「仕事人」になるには、会社の外に刺激を求める姿勢が必要です。「会社人」は、自分の会社の中しか見えず、上司や同僚など狭い範囲の価値観にとらわれている内向きな人間です。ですから、定年間際に慌てないよう、若いうちから社外にネットワークを作り、外の世界と積極的に関わることをお勧めします。勉強会や趣味のサークルなどなんでも構いません。会社とは違う価値観に触れることで、社会がどんな人材を求めているのか知るきっかけにもなるし、仕事人として活躍している人がいれば、その人のキャリアや働き方から学ぶことも多いでしょう。
そして大事なのは、40代や50代のうちに、自分は60歳以降に何をやりたいのか見つけること。そうすれば、「50代のうちにこんなスキルや能力を身につけておこう」と逆算することができます。「60代になっても、一つの事業を任されるマネジメント人材になりたい」というのであれば、50代までに新規事業を自ら立ち上げて成功させれば、60歳で定年を迎えた後も、そのまま責任者を任される可能性が出てきます。会社が仕事や役割を与えてくれるのを待つのではなく、自分の力でそれを作り出せる人材になることが、六十歳以降に「評価される人」になるための道です。
<『THE21』2015年4月号より>
<取材・構成 塚田有香>
更新:11月22日 00:05