2015年05月29日 公開
2022年06月07日 更新
――とはいえ、ビジネスパーソンにとって、結果は常に気になるところ。自分の信念にこだわり過ぎるのは、危険ではないでしょうか?
「実は、結果を最優先に考えることにこそ、大きな落とし穴があります。世の中には、”正解思想”というものがあります。結果を出すためにはこっちのやり方が正解じゃないか、あっちのやり方が正解じゃないか、と二者択一で物事を考えがちです。でもそれは、違います。ビジネスの上で、最初から正解・不正解を予測できるものなどほとんどありません。結果が良ければ正解となるのであり、結果が悪ければ不正解となるに過ぎません。要するに、後付けなのです」
――それは、ビジネスマンにとって、「結果に意味はない」ということでしょうか?
「もちろん、私は『結果に意味がない』と言いたいのではありません。そうではなく、最初からやり方が正解・不正解かを迷うことは『順番が違う』と言いたいのです。
まず最優先にすべきことは、『自分はどう生きるべきか、何をやるべきか』という信念を自分に問いかけることです。そうしてやるべきことが見えてから、『それを成功に導くためにはどうすべきか』と、やり方を考えるべきだと言いたいのです。
このように、どんな時も信念を先に置いて行動すれば、それに合ったやり方が見えてくるはずです。そして、そのやり方で失敗したとしても、最初に指針があれば、失敗の原因がより明確に見えやすくなり、次につなげることができるでしょう」
――たとえ生きる上での信念を持っていても、望まない仕事を任されて気持ちが沈むことはあるのではないでしょうか? 特にこの時期、それで悩む新入社員も多いはずです。
「こんな仕事をやりたい、という明確な目標をもった新入社員であっても、会社員であれば、望む仕事だけをすることはなかなかできません。しかも、自分が望んだ仕事であっても、それが自分に合うか合わないかは、新入社員の段階ではなかなかわからないはずです。だから私は、まずは任された仕事としっかりと向き合うべきだと思います。とにかく徹底してその仕事をやることで、その仕事の面白さが見えてくるかもしれません。
もちろん、『新入社員は信念を持たなくていい』と言いたいのではありません。『どう生きるべきか』という信念をすでに持っていれば、たとえ望んだ仕事でなくとも、それを自分の指針に基づいて目の前の仕事に前向きに取り組むことができるはずです。
また、まだ信念のない人でも、『自分はこんな人間になりたい』という自分の将来像をイメージするだけでも、仕事との向き合い方がかわってくるでしょう。
どんなときでも、”自分の生き方”から仕事を考える習慣を身につければ、仕事も人生もきっと道が拓けてくるはずです」
藤堂昌恒(とうどう・まさつね)
1958年、滋賀県彦根市生まれ。同志社大学経済学部卒業、1989年、中小企業診断士試験合格。経営コンサルタントとして、経営理念の作成、経営計画の策定指導等に従事した後、1995年、独立。独立後は、「がんばる個人を応援すること」を使命に、東京・大阪で社会人対象の「ちとえ藤堂塾」を主催するほか、企業内でパーソナルコンサルタントとして個別指導を行う。また、各種団体での講演にも奔走している。丁寧な指導とわかりやすい解説には定評があり、ファンも多い。新・経営システム研究所代表。ちとえ藤堂塾塾長。パーソナルコンサルタント。『人生戦略書』の作成による積極的・主体的人生を呼びかけている。殿堂入りメールマガジン「仕事の課外授業」配信中。
ちとえ藤堂塾HP(智&慧) http://www.chitoe.com
更新:11月22日 00:05