2015年05月19日 公開
2023年05月16日 更新
きちんとニーズをお聞きし、それに合った提案をしても、第4段階の「クロージング」でお客様に「検討しておきます」と言われることがあります。そこで「では、よろしくお願いします」と言って帰ってしまう営業は、プロとは言えません。買うか買わないかの決断は、いつか必ずしなくてはいけないもの。先延ばしにしても双方にメリットはありませんから、決断を促すことは営業としての重要な役目です。
では、お客様が「検討しておきます」と言ったら、何と返せば良いか。私なら「何を検討されるのでしょうか?」と聞きます。決断できないお客様の中には、理由があいまいな方が多くいます。決断には勇気がいるので、できれば後回しにしたい心理が働いているだけということがあります。ですから私にこう聞かれると、大半のお客様は自分が単に決断を先送りしているだけだと気づきます。そこで改めて、必要性があるのかをお聞きすればいいでしょう。
もちろん、迷っているお客様に無理強いしろと言っているのではありません。しかし私たち営業には、数字が求められるのも事実。最初に理念をお話ししたとき、「私はお客様を優先します」と言いましたが、それは営業としての数字達成にこだわらないという意味ではないのです。
ちなみに私は「51:49」という数字を意識しています。これは「51%はお客様のことを考え、自分のことは49%で考える」ということ。これが最良のバランスだと思っています。
「私はお客様のことを90%以上考えています」という人に、数字は出せません。お客様のことを優先しつつ、自分の仕事のこともしっかり考える。これが売れる営業マンになるための心構えです。くどいようですが、常にお客様を優先することを忘れてはいけません。
《『THE21』2015年5月号より》
川田 修
(かわだ・おさむ)
プルデンシャル生命保険エグゼクティブ・ライフプランナー
1966年、東京都生まれ。慶應義塾大学法学部卒業後、89年、㈱リクルート入社。広告営業を担当し、部署最優秀営業マン賞や全社年間最優秀営業マン賞を受賞。97年、プルデンシャル生命保険㈱に転職し、年間営業成績でトップとなる。現在はエグゼクティブ・ライフプランナーとして営業を続けるかたわら、さまざまな業種の企業からの講演依頼も数多くこなしている。著書に、『かばんはハンカチの上に置きなさい』(ダイヤモンド社)など。
更新:11月24日 00:05