2015年04月30日 公開
2023年07月03日 更新
――やはりビジネスマンにとって、「本」という存在は今以上に重要になってくるということだろう。では、時間のないビジネスマンは、どのように大量の本を読めばいいのだろうか。
神田 ところで、竹田さんはそれだけ多くの本をどのように読んでいるのですか?
竹田 これは本によっていろいろでして、必要な部分だけを読む場合もあれば、全部しっかり目を通す本もあります。その本を読む目的に応じて読み方を変えている感じですね。
ただ、同じテーマの本を何冊も読んでいると、徐々に知っていることばかりになります。そうすると今度は、「知らないことが書いてないかな?」という読み方になり、ペースも自然と速くなります。
神田 私も読書術を教えたり、全国で「読書会」という活動を行なっているのですが、そこでまず教えるのも「目的意識」の大切さです。目的意識があれば、本を読むスピードは格段に上がります。竹田さんの執筆の「目的意識」はどこにあるのですか。
竹田 何か興味があるものを調べていくと、どんどん次の興味のあることにぶつかっていくのですが、興味があるだけ止められない。原稿の締め切りがなければ、いつまでも調べ続けるでしょうね。
神田 ある意味「オタク気質」ですね(笑)。
竹田 そして、面白いことを発見した際の「あ、そうだったのか!」という感動を分かち合いたい、という意識は常にあります。「これ、みんなに教えてあげたら、みんなもビックリするだろうな」という、自分が感動したプロセスをもう一回再現して、みんなに知ってほしい。それが本を読み、書く動機と言えるかもしれません。
神田 つまり、インプットと同時にアウトプットを考えるということですね。まさに今の時代だからこその方法ですね。こういう読み方ができるようになると、情報の質が圧倒的に高まる。実はこれも「読書会」で実践していることです。
竹田 神田さんの「読書会」では、どんな本の読み方をするのですか。
神田 詳しくは先日発刊した『バカになるほど、本を読め!』(PHP研究所)に書いたのですが、やはり基本は「目的意識」と「行動」です。読書会はもともと、幕末の私塾をイメージして始めた活動です。松下村塾などもそうですが、当時の私塾は、1冊の書物をみんなで読み合って議論をするという「読書会」でした。しかも彼らは読書を「行動」につなげようとしていた。そんな、目的意識を持って大勢で本を読むという会を、全国300名のファシリテーターが中心となって進めています。
竹田 事前に課題となる本を読んでから参加するのですか?
神田 いえ、その必要はなく、その場で一緒に読みます。そうしてみんなで持ち寄った本の内容についてお互いに対話し合うことで、より幅広い知識が手に入る。そして、最後にどんな活動につなげるかを考える。そういう活動です。
インプットとアウトプットを同時に行なうという意味で、竹田さんの読書術に通じるところがありますね。
竹田 やはりそういう場では、アナログの本がいいですよね。
神田 そうなんです。しかも厚い本がいい。薄い本だと、1人で読めちゃうじゃないですか。「ちょっとこれ、1人で読むの大変だな」という本のほうがいい。
竹田 みんなで「取り組むぞ!」という感じになるわけですね。面白そう!
〔2〕につづく
<本インタビュー簡略版は「THE21」2015年1月号に掲載しました/写真撮影:長谷川博一>
更新:11月23日 00:05