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「クールビズ」の難しさ――くらたまの“世の中”ってヤツは!

2014年07月07日 公開
2023年05月16日 更新

倉田真由美(漫画家/エッセイスト)

《『THE21』[連載]くらたまの“世の中”ってヤツは!<第6回>(2014年7月号)より》

 

スーツしか着ないおじさんたちの困り顔

 クールビズ、今年で10年目になるそうだ。ついこないだ始まったばかりという印象だが、10年も経っているとは驚いた。

 さて、毎年必ずひとしきり話題にはなるクールビズ。開始当初と比べ、オシャレやセンス、快適さが問われるようになったようだ。体感的にはあんまり普及した感じがしないけど、紳士服売り場では品揃えも増えているらしい。

 しかしバリエーションが増えれば悩みも増える。

 「どんなの着ればいいんだよ?」

 途方に暮れるおじさんたちの困り顔が見えるようだ。

 よしよし、もっと悩んだらいい。

 ファツションセンスゼロの私は、

 「男はスーツさえ着ておけばいいから楽だなあ」

 と、常々羨ましく思っていたものだ。世の中、服選びが楽しい女ばっかりじゃないんだぞ。男もちょっとは服で苦労してもらわないとね。

 

男はただでさえ暑がりが多い!

 クールビズの難しいところは、「ビジネスシーンで、顧客や同僚に不快感を与えない服装」かつ「少しでも涼しい服装」でないとだめなところである。この2つって共存しづらい条件だ。不快感を与えないためには肌の露出を極力減らす必要かあるし、涼しくするためには肌は露出したほうがいい。

 「もう、考えるのめんどくさいからネクタイはずすだけでいいわ」

 と、思考放棄してしまった人も多いはずである。いや実際、下手なクールビズを着ると、

 「薄汚い腕毛なんか見せて、マナーのなってないヤツだ」

 と、苦々しく思われる可能性もある。取引先のお得意様がスーツなのにこっちが半袖ガラシャツなんて、笑えない光景だ。意外と女より、礼儀にうるさいおじさんのほうが怒りそうなんだよね。

 でも、クールビズの最大の目的は「冷房の設定温度を上げる」ことにある。我が家でも夏になるといつも揉めるんだが、男はただでさえ暑がりが多い。うちの夫、すぐに「暑い暑い」とクーラーをつけたがる。そして信じられない低温設定でガンガンクーラーを回す。別居したくなる瞬間だ。家で薄着の夫でもこうなんだから、びっちりスーツを着た男が快適に感じる温度なんて、どれだけ低いんだと恐ろしくなる。

 

「せ一の!」で一斉にスーツをやめてみよう

 日本人は良くも悪くも頭が固いから、スーツや制服は国民性にマッチしている。だからクールビズつて、10年経ってもまだまだ浸透しきっていないし、未だに真夏でも長袖スーツ姿の男は多い。困ったものだ。「とりあえず無難に」って分かるけど、それ女にも、地球にも優しくないからね。

 せ一の!で一斉に真夏のスーツをやめる日を設定したらどうかなあ。半強制的に実行しないと、この国でクールビズは牛歩の進み方しかできない気がする。

 

★「くらたまの“世の中”ってヤツは!」は月刊誌『THE21』で好評連載中です!

 

倉田真由美

(くらた・まゆみ)

1971年、福岡県生まれ。一橋大学卒業後、「ヤングマガジンギャグ大賞」で大賞受賞。2000年にはダメ男を好きになる女たちを描く『だめんず・うぉ~か~』がブレイクする。28歳で結婚。男の子を出産。その後離婚し、2009年に再婚。念願だった第2子(女の子)を出産。マンガ・エッセイなどの執筆活動のほかにテレビ・ラジオ出演、トークショ-と多方面で活躍中。

<掲載誌紹介>

2014年7月号

<今月号の読みどころ>
「知っているか、知らないか」ではなく、「考えられるか、考えられないか」。答えが用意されていないビジネスの世界で求められるのは、自ら問いを立てて、アイデアを考えたり、判断することです。そして、そのベースになるのが“地頭の良さ”です。
今月号では、どうすれば地頭が鍛えられるのかについて、実績あるプロフェッショナルに教えていただきました。

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BN

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