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S&P500が正解とは限らない? 投資前に確認したい1つのこと

新井和宏 (実業家)

昨今の日本では、「S&P500に投資しておけば間違いない」といった語られ方をすることもあります。しかし、投資信託にはそれぞれ異なる特性があり、当然ながらリスクも一様ではありません。投資に不安を感じるのであれば、まずはその商品の特徴やリスクを正しく把握することが大切です。書籍『投資がうまくいく人の当たり前』より解説します。

※本稿は、新井和宏著『投資がうまくいく人の当たり前』(アスコム)より内容を一部抜粋・編集したものです。

※本稿は2026年10月時点の情報に基づき、投資に対する考え方を示したものであり、個別の金融商品を推奨するものではありません。金融商品の価値は状況によって変動しますので、購入の可否を含む投資の判断はご自身の責任で行うようお願いいたします。

 

「結い2101」が支持された理由

投資信託には、それぞれに特性があります。

リスクの取り方や運用方針、運用者の考え方によって、得られる成果も、投資家の満足感も違ってきます。値動きが大きい商品は刺激的ですが不安も大きく、安定運用を志向する商品には派手さはないものの安心感があります。

その違いを理解しておくことが、落ち着いて投資を続けるための条件です。

私が独立系の運用会社を立ち上げた頃、目指したのは株式市場よりもリスクを抑えた安定運用でした。基準価額の変動リスク(さまざまな要因で、金融資産の価格が上下に動く可能性のこと)をおおむね10%以内(株式市場の値動きの半分ほど)にする。

かつて私が信託銀行に勤めていた時(1990年代前半)の利回りは、定期預金で年5%前後。長期で預ければ自然に財産が増えていく、そんな時代がありました。

市場平均を上回るような高いリターンを狙うのではなく、投資先企業の実力に見合った成長を着実に反映させ、基準価額の下落幅を抑えることを重視したのです。

日本の多くの投資家は「株は怖い」「損をしたくない」と感じており、リスク資産に慣れていません。投資に慣れていない人でも始めやすく、長く安心して持ち続けられるようにするのが狙いです。

こうした設計の「結い2101」は急上昇する相場では他のファンドほどのリターンを上げません。しかしその分、相場が下落したときに安定性を発揮します。大きく跳ねることよりも、下げを抑えながら資産を増やしていく考え方です。

値動きの幅を小さく抑えることで、受益者が不安にならずに長期保有を続けられるようにする。それが「結い2101」の特性です。

実際に運用していた当時、東日本大震災など市場全体が大きく揺れた局面では、「結い2101」への支持が高まりました。

 

投資信託の「性格」を知らないから不安が消えない

運用方針やリスクの設計は、投資信託によってまったく異なります。高いリターンを狙う投資信託もあれば、値動きを抑えて安定性を重視するファンドもあります。

その違いを知らずに「なんとなく有名だから」「人気だから」と選んでしまうと、上がれば安心、下がれば不安という値動きだけの投資になってしまいます。

「この投資信託は、もともとこういう値動きを想定している」と知っているだけで、不安の感じ方がまるで違います。逆に「なぜ上がったのか、なぜ下がったのか」がわからない状態は、投資を継続するうえでもっとも危険です。

多くの投資信託は、目論見書や運用報告書に方針やリスクが書かれています。目論見書では「何に投資するのか・手数料はいくらか・どんなリスクがあるか」を確認でき、運用報告書では「実際に何に投資し、成績や運用状況がどうだったか」を確認できます。しかし、こうした書類は金融庁の定型フォーマットで作成されているため、どうしても無機質になりがちです。運用者の考えや哲学までは伝わりにくい。

ですから、とくにアクティブファンドに関しては「説明会に足を運ぶ」のが得策です。どんな人がどんな思いで運用しているのか、直接感じることで、その投資信託が自分に合っているかどうかがわかるはずです。

「インデックスファンドと、アクティブファンドのどちらがよいか」は、たびたび議論の的になりますが、優劣の問題ではありません。

インデックスファンドは市場全体の動きに合わせて成果を得たい人に向いており、アクティブファンドは「どんな企業を応援したいか」を重視する人に向いています。

入り口としてインデックスファンドから始め、次にアクティブファンドを検討し、さらに関心が深まれば個別株に進む。自分の考えに合わせて投資のスタイルを変えていくのもひとつの成長プロセスです。

投資信託はプロに運用を任せる商品ですが、そのお金の行き先には実際の企業があります。投資先の企業がどんな活動をしているのかに目を向けると、投資信託にお金を預けることは、社会で挑戦する人たちを支える行為へと変わります。

どんなに優れた商品でも、その特性を理解せずに持っていると、不安は消えません。

たとえば、S&P 500は日本では唯一の正解のように語られがちです。もちろん優れた指数ですが、時期によって特定の業種の比重が大きくなることがあります。

近年はIT系(例:ソフトウェア、半導体、ネット関連など)の大型企業の影響が強く、指数全体の値動きがITの調子に引っぱられやすい状態です。分散しているように見えても、裏側では「ITが崩れると全体も揺れやすい」というリスクを含みます。

上げ下げに一喜一憂せずに長く投資を続けるためには、「その商品がどんな考えで運用されているのか」「どのような場面で強いのか」を知ることが欠かせません。商品の設計思想を知り、自分の考えと合っているかを確認する。それだけで、投資との向き合い方が変わります。

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