
部下に仕事を任せるなら、「あとはよろしく」では伝わらない。
※本稿は、北 宏志 著『新しい任せ方の教科書 Z世代の部下が動き出す全技術』(ぱる出版)の内容を一部抜粋・編集したものです。
前述した、指示出しの方法に悩みを抱えていたFさん。部下に寄り添った指示出しを試行錯誤し始めた段階で、新たなご相談をいただきました。
「何をどこまでやるかを伝えることを意識すると、どうしても指示が細かくなってしまって、話も長くなりがちです。これでは部下に嫌がられてしまうのではないでしょうか」
たしかに、Fさんの気持ちもよく分かります。私も若い頃、上司から仕事の指示を受ける際、今となっては大変失礼ですが、「もっと簡潔に説明してくれればいいのに、話が長いなぁ」と思ったことがありました。
あまりにも細かい指示が毎回続くと、とられる時間も増えてしまい、相手が負担に感じることも起こり得ます。しかし、業務を任せ始めた段階では、やはり細かく、丁寧な指示を出すことが重要です。
とくにZ世代の若者たちは仕事の目的からゴール、その先のイメージまで、〝これが正解〞という答えを事前に把握しておきたいと考えています。そのため、新しい業務に着手する際に、上司側が細かすぎるほどしっかりとした指示を出したり、丁寧に確認したりすることを嫌がりません。
むしろ、細かな指示を出してもらった方が安心だと考えているのです。
そこで私はFさんに「5W1H」での指示出しを意識することを提案しました。5W1Hとは、When(いつ)、Where(どこで)、Who(誰が)、What(何を)、Why(なぜ)、How(どのように)で物事を考え、伝えるためのフレームワークです。
先ほどから何度か例に挙がっている年間提案のたたき台づくりでもう少し考えてみましょう。
年間提案のたたき台づくりの5W1Hには次のようなものが考えられます。
いつ:たたき台の提出日や提案資料の完成予定日、年間提案の日やその結果が分かる日など
どこで:たたき台をつくる場所や提案を行う場所、あるいは作成したたたき台を〝どこに〞保存しておくかなど
誰が:たたき台をつくる人、チェックする人、提案をする人、あるいは提案相手についてなど
何を:新たなたたき台、あるいはベースにすべき昨年のたたき台など
なぜ:提案の目的
どのように:新規作成するのか昨年のものをベースにするのか、ファイル形式に指定はあるか、メール送付か郵送かなど
指示を出す際には常にこの5W1Hが足りているかを意識すると良いでしょう。
さらに、指示を出す際に気を付けるべき点があります。それが「守破離」です。守破離とは、武道や茶道などの世界における修行のプロセスで重視すべきことを示した言葉で、師の教えを忠実に守り、それを破って自身で工夫をし、やがて師の下を離れ、自身の新しい世界を確立することを意味します。
そんな守破離における基本となるのが「守」、すなわち教えに忠実であることです。学ぶは真似る、物事の習得は真似ることから始まります。
これをZ世代の部下への指示出しに当てはめると、どうなるか。5W1Hで細かく丁寧に伝えたうえで、「最初はこのやり方をそのまま真似してください」と言い添えるのです。
ポイントは〝完コピ〞となります。正解を知ってから取り組み始めたいZ世代の若者たちにとって、自己流で進めるように言われ、失敗をするのはもっともNGなこと。最初はあくまでも絶対に失敗しない、正解のスタイルで取り組ませるべきなのです。

更新:10月06日 00:05