
部下への仕事の任せ方に迷うなら、
※本稿は、北 宏志 著『新しい任せ方の教科書 Z世代の部下が動き出す全技術』(ぱる出版)の内容を一部抜粋・編集したものです。
自身の仕事内容の棚卸しが終わったら、次はそれらの業務を時間軸で分解していきます。
仕事における比較的分かりやすい時間軸は、1週間という単位です。土日がお休みの場合は、月曜日から金曜日までを1つのスパンと考え、自身の業務を分解しましょう。
例えば、月曜日には定例会議があり、そのための資料準備は金曜日までに仕上げる必要がある。実際に自分の手元で作業が発生するのは水曜日で、木曜日には上司にチェックを仰ぐ、修正があれば金曜日に対応するといったように、1つ1つの業務を行うタイミングを洗い出し、可視化します。
このように時間軸で業務を可視化する中で、同じ1つの業務であっても、その〝重さ〞が異なることが見えてくるでしょう。急いでやらなければいけないもの、やるタイミングが決まっているもの、すぐにアウトプットする必要はないが時間をかけて成果を出さなければいけないものなど、業務にはそれぞれ〝重さ〞があるのです。
さて、皆さんは「時間管理のマトリックス」をご存じでしょうか。これはスティーブン・R・コヴィー氏が著書『7つの習慣』で提唱したものです。このマトリックスでは重要度と緊急度の2つの軸を基に、タスクを4つの領域に分類、そのうえで優先順位を判断します。
簡単に分類すれば、重要度が高く緊急度も高いものは、すぐに着手する必要があり、重要度が低く緊急度も低いものは、後回しにしても問題がないと判断ができるわけです。
このマトリックスは、仕事を任せる際にも有用な判断軸となります。重要度の高いものとは、任せることで部下の成長に直結する業務や、できるようになることで他の業務もスムーズに進めることができる業務を指します。
重要度の低いものには、例えば、アルバイトや派遣社員などでもすぐに代行できるような業務、外部に委託をしてもクオリティに変化なくアウトプットが可能な業務などがあるでしょう。
緊急度の高いものとしては、納期が迫っているのに人手不足で回っていない業務や、短い期間で特定のスキルを身につける必要がある業務などが考えられます。
緊急度の低いものとしては、長いスパンで取り組むべき業務や、多くの人が同じスキルを持っているため現状は問題なく進められている業務などがあるでしょう。

なお、ここで1つ注意すべき点を示しておきます。
このマトリックスでは、重要度が高く緊急度が低いものを「第2領域」、重要度が低く緊急度が高いものを「第3領域」と呼んでいますが、皆さんならこの2つのどちらから着手しますか。多くの方が緊急度が高い第3領域から着手しがちですが、本来優先すべきは第2領域、重要度が高いものになります。この点を念頭に置いておきましょう。
では、この2軸で任せるべき業務を可視化していきます。前述した既存顧客のフォローを、改めてこのマトリックスで考えてみましょう。
例えば、今顧客にトラブルが発生しており、すぐに対応が必要な場合は、重要度も緊急度も高いと言えます。一方で、顧客が今のサービスに満足している場合、慌てて新規のサービスを提案する必要はなく、緊急度は低いと判断できます。
しかし、長期的な視点を持つと、より上位のサービスを提案していくことは非常に大切であり、重要度は高いと考えることができますね。
では、重要度も緊急度も高いものをすぐに部下に任せることは正解でしょうか。例えば、先ほどの顧客のトラブル解決。これをいきなり部下に任せて「解決してこい」と言うのは、少し無理があります。
ここでポイントとなるのが〝重さ〞です。任せる仕事を判断する際には、重要度と緊急度に加え、その業務の〝重さ〞までランク分けをすることが必要です。それでこそ、部下に適切に仕事を任せることが可能になります。
まずは自身の1週間の仕事内容やスケジュールを見える化し、重要度と緊急度と重さで評価して優先順位を付ける。こうして自身の頭の中を整理整頓することが大切です。
ここで少し余談を挟みましょう。日頃、Z世代向けの人材育成プログラムを受け持っていて感じるのは、多くの若手社員が仕事の優先順位付けが非常に苦手だということです。
優先順位を判断するクセを付けるには、トレーニングが必要になります。私が担当する「自己管理力養成研修」には、仕事の優先順位が明確になるTODOリストのつくり方や、タスク・時間管理の方法を学ぶプログラムもあります。
業務の優先順位付けは任せる上司側だけでなく、任せられる部下側にも不可欠ですので、このようなトレーニングを活用することもご一考ください。
更新:10月05日 00:05