2013年05月29日 公開
2022年12月08日 更新
《『THE21』2013年6月号より》
飲み会やパーティーなどの席ではもちろんのこと、取引先への訪問、職場の人とのランチや外出に至るまで、雑談するスキルはビジネスマンにとって必須といえる。しかし、「自分からうまく話すのは苦手」という人や「質問や話題作りが下手で、盛り上がらない」という人、なかには「雑談でも緊張してしまう」という人もいるだろう。
そこで、『THE21』2013年6月号[総力特集・「大人の雑談力」]第2部「会話がとぎれない雑談術」では、会話のプロ6人にご登場いただき、うまく緊張を解き、雑談を盛り上げ、相手に好印象を持たれるようになるノウハウを教えてもらった。
◆ ご登場いただいた方のテーマとお名前:本紙登場順 ◆
「“自分への意識”を相手に転換する」
森下裕道(〔株〕スマイルモチベーション代表取締役/パーソナルモチベーター)
「会話のネタ・引き出しを増やす」
山口拓朗(〔株〕アップリンクス取締役/伝える力【話す・書く】研究所主宰)
「ひと手間かけて会話を解きほぐす」
矢野 香(〔株〕オーセンティ代表取締役/「信頼を勝ち取るスキル」の指導)
「共通項を見つけ心を開かせる」
マツダミヒロ(質問家/「魔法の質問」主宰)
「“褒め言葉”を効果的に使う」
谷口祥子(Bee Hive代表/ほめ方の伝道師)
「リアクションで相手を安心させる」
村松加王里(スピーチコンサルタント/「話し方と伝え方」セミナー講師)
ここでは、多くの人が、雑談の場面で 「こんなとき、どうすれば……」 と悩むことを具体的に想定し、第2部にご登場いただいた会話のプロ6人に回答していただいた。
★ こんなとき、どうする? ★
「雑談」のお悩み解決 Q & A
<Q>初対面での自己紹介。覚えてもらうためのコツはありますか?
<A>マツダ氏の答え
「「しゃべりすぎない」ことが自分のことを覚えておいてもらえる最大の秘訣ではないでしょうか。自己紹介を長々と話しすぎると聞いている人が飽きてしまい、断片どころかほとんど覚えてもらえない、という恐れがあるからです。
すべてをその場で伝えず終わらせれば、あとから途中で終わらせた内容に関して聞いてもらえることがあります。質問してくるということは相手が興味を持った話題ということですから、それをキーワードにして、会話の材料にすることができますよ。
<A>谷口氏の答え
自分を表わす印象的なフレーズを用意しましょう。私はいつも「ほめ方の伝道師、谷口祥子です」と自己紹介をしますが、このような「別名」があれば、名前と同時に自分のイメージも、聞き手の記憶に強く残ります。
また、自分をカッコよく見せようとせず、笑える失敗談などを話すほうが好感度大。「自慢してから落とす」方法もお勧めです。「20代で公認会計士になり、起業しました。でも妻に財布を握られている○○です」と言えば、親しみやすい印象を持ってもらえます。
<Q>職場の人と仕事以外の話はどこまでしていいものでしょうか?
<A>森下氏の答え
仕事の話以外はしない同僚より、色々な話をできる同僚のほうが好印象を持たれます。「この話題はダメ」などと線を引かず、何でも話して良いと思います。就業時間以外の休憩時間やランチタイムを使って会話すると良いでしょう。
なお、親しい同僚にプライベートなことや少しデリケートな話をするときは、「○○さんだから話すのですが……」というひと言を添えると、心の距離が縮まります。相手に対して特別に信頼感を寄せている、という気持ちを強調しましょう。
<A>村松氏の答え
「どこまで」というボーダーラインは人それぞれですから、相手の出方を見て見極めるのが最善策です。相手に話をしてもらうためには、まず自分から腹を割って話さないと、相手は心を開いてくれません。ですから、自分が「ここまでは話しても大丈夫だ」と思える事柄について、話しかけてみて下さい。相手がその話題に乗ってきてくれたらOKということ。もしあまり乗り気ではない素振りを見せたら、触れて欲しくない話題ということですから、早めに話題を切り替えましょう。
<Q>年齢の離れた人との共通の話題が見つけにくいのですが……。
<A>谷口氏の答え
年下の相手には、若い世代が得意とする分野について教えを請うと良いでしょう。「このアプリって、どう使うの?」などと尋ねると、相手は目上の人に役立てる喜びを感じるでしょう。
年上が相手なら、長年の経験や知識を頼りにする態度を前面に。「今度うちの課に来られる○○部長はどんな方ですか?」「○○課とウチの課の関係はどうですか? ××について協力を仰ぐことはできそうでしょうか」など、相手だからこそ知り得る情報を聞くと相手も嬉しく感じ、親切に教えてくれます。
<A>村松氏の答え
日頃から話しかける相手を観察しておいて、その人の持ち物に関して話しかけてみてはいかがでしょうか。老若男女問わず、持ち物にはその人のこだわりが反映されるからです。
相手のことを事前にリサーチして、得意なこと、ハマっていること、何に興味があるかを探ることは、会話の糸口にできます。趣味や家族構成、生活パターンなど、知ろうと思えばいくらでも事前リサーチは可能です。情報が多ければ多いほど、どんな反応を求めているかも推測しやすくなりますよ。
<Q>どんな話題をふってもなかなか相手が乗ってくれない場合はどうしたら?
<A>森下氏の答え
その相手は口の重い、沈黙しがちな人ということですね。ならば、「話が上手ですね!」「○○さんとは話しやすいです」と言ってみましょう。驚くくらい、なめらかに話し始めてくれます。
相手は、自分の口ペタを弱点だと思っています。そこを褒められると大きな喜びと自信になり、話ができるようになるのです。一見嘘をついているかのようですが、これは相手自身も気づいていない魅力に気づかせるコミュニケーション。自分も相手もハッピーになれる方法なのです。
<A>山口氏の答え
「沈黙」を怖がらないことが肝心です。つまらなそうに見えて実は楽しんでいる、というケースは多いもの。相手はもともと寡黙なタイプで、沈黙を心地よく思っているかもしれません。
こちらも「沈黙を楽しもう」というくらいの気持ちで、ニッコリ笑って堂々と構えましょう。すると相手は、「この人とはひっきりなしに話さなくても大丈夫なんだ」と安心します。「沈黙が大丈夫な間柄」は、気心しれた、深い信頼関係でもあります。そうした関係づくりにも一役買う対応と言えるでしょう。
更新:11月24日 00:05