
SNS上の書評投稿チーム「ツナグ図書館」。多くのメンバーを抱えるチームだが、全員に共通しているのは本、読書に対する思いだ。個々人の考える読書のメリットや、実践している選書術を聞いた。(取材・構成:三井カナ)
※本稿は、『THE21』2026年4月号の内容を一部抜粋・再編集したものです。
※本稿は前後編の後編です。
――様々な背景を持つ皆さんの共通項は「読書愛」ですね。なかじさんとのーまるさんは、読書で人生が変わったとおっしゃっていましたが、どのようなご経験だったのでしょう。
【なかじ】読書の習慣がついてから、生き方を変えたいという思いが強まりました。なんとなく生きるのではなく、豊かな、自分ならではの人生......と考えていた先で、前述の読書コミュニティに参加。そこで感じたのは「言葉の力」です。人が行動を変えるときとは、言葉に感銘を受けたときなんですね。14年間勤めた鉄道会社を辞め、今はそのコミュニティの主宰をされていた方の会社で働いています。
【のーまる】私の最初のきっかけは、うつと短期離職の繰り返しという逆境の中、簿記の資格に挑戦して合格したことでした。ここで目覚めたのが、学ぶ楽しさ。知らなかったことを知る、違う自分になる――その入口が読書だと気づきました。
それ以降、「読んだら行動」をモットーに様々な挑戦をし、キャリアコンサルタントの資格も取得。私の履歴書上のキャリアは立派とは程遠いですが、厳しいときを過ごした経験はきっと活かせる、と今は思います。ある出版社さんから依頼を受け、講演をさせていただいたときもそれを実感しました。個人の看板で、人のお役に立てている。昔からは想像もつかない、喜ばしい変化です。
――素晴らしいです。読書は受動的な行為というイメージがありますが、皆さんはとてもアクティブですね。これまでの自分を変える「行動に結びつく読書」の秘訣は何でしょう?
【くもりちゃん】何かを変えたくて自己啓発書を読んだのに、「あれ?変わらない」と思うこと、ありますよね。いざというときに「あの本に書いてあったのに!」と悔しい思いをすることも。その悔しさ=「読むだけではダメだ、実践しなくては」という思いを、繰り返し抱くことで変化が起こるのかも。読んだあとにアウトプットする習慣も、そこから生まれるのだと思います。
【なかじ】そうですね。実は僕も、長らく動けない人でした。読書を始めたのが24歳、行動に移せるようになったのはさらに3年後、コミュニティに入ってからです。周りが読書を行動に反映させていく方々ばかりで、僕も「実践しなくては」と思いました。SNSで「○○をやります」と先に宣言し、行動せざるを得ない仕組みを作っていきました。
【ぶっくま】私も時間がかかりました。ITエンジニアという職業の将来に不安を感じていた時期、ある方から「本屋さんに行ってみない?」と誘われたのがきっかけで読書習慣ができ、さらに数年後、本田直之さんの『レバレッジ・リーディング』という本を読んで、インプットを行動に移すべく発信を開始。
その結果、様々な方が変わっていく様をつぶさに見たことが、今につながっています。書店に誘ってくれた方が私に変化をもたらしたように、今度は私が誰かの変化のきっかけになっていきたいですね。
――皆さんの選書術についてもお聞きしたいです。多忙なビジネスパーソンが、自分に合う本を探すためのアドバイスも兼ねて、教えていただけますか?
【なかじ】アドバイスになるかどうかわかりませんが、僕自身は最近、編集者さんで選ぶことが増えています。一人気になる方がいると、その方が手掛けた本を追っていく形です。著者は違っても一つ筋が通っていて、自分に落とし込みやすい気がします。
あと、忙しくても週に1度は必ず書店に足を運びます。ネット書店のレコメンドでは自分の趣味嗜好に偏ってしまうので、あえて違う棚に行く。良い出会いに欠かせない習慣です。
【のーまる】私も、本選びはもっぱら書店です。昔は頭で考えて選ぼうとしていましたが、結局は手に取って何ページか読んだときの「直感」が一番ですね。タイトルや装丁も含めて「これだ」と感じれば買います。
【くもりちゃん】私も直感で買うタイプです。一方で、忙しい方が「失敗しないため」の知恵としては、書店を歩きながら、「今、言葉にできないこと」を基準にしつつ探してみてはどうでしょう。頭の中のモヤッとした部分に光が当たりそうなものがあったら、パラパラと読んでみる。そのとき、予測を良い意味で裏切られたら「買い」です。今の自分にない部分、ないことにも気づけていなかった部分に届く一冊になると思います。
――最後に皆さんそれぞれの、今後の抱負を教えてください。
【ぶっくま】この1年は「嬉しい想定外」の連続でした。ささやかにやっていけたら十分と思っていた活動が、PHP研究所さんとコラボできるような展開になるとは......。今後は、出版社さんはもちろん、書店さんとのコラボにも注力したいと考えています。現在も「コーチャンフォー若葉台店」などにコーナーを作っていただいていますが、そうした「SNSとリアルをつなぐ」活動を広げていきたいですね。
【のーまる】私も、リアル書店の存在感を高めるお手伝いをしたいです。書店員の方々に選書してもらうコラボ企画とか......あと、これまで以上に「ツナグ図書館」のメンバーが各々の強みや個性を発揮できるサポートをしようと思っています。一人ひとりにファンがついて、読者がメンバーに会いに来てくれるようになって、その場所を、書店をはじめリアルな場所に作れたら......なんて妄想しています(笑)。
【なかじ】僕は「本をつなぐプロジェクト」の一企画、「SNS推し本大賞」に力を注ぎたいです。埋もれている本の露出度が上がり、「こんな本があったのか」と気づいてもらえる一助になりたい。いずれは「本屋大賞」に匹敵するような賞に育てるのが目標です。
【くもりちゃん】私は「本を読まない人」との距離を縮めたいです。SNSを広く見渡すと、「読書習慣はないけれど、実は本を読みたい人」は意外と多いように思うんですね。ですから活動を「本好きな人向け」にとどめず、その外側に届く言葉を発信していこう、と思っています。
私のもう一つの活動であるコーチングもそうなのですが、本は言葉を通して「人生に伴走する」もの。そんな伴走者との出会いを、より多くの人に届けられたら嬉しいですね。
更新:03月25日 00:05