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歯周病菌が血管を傷つける...医師が問題視する「血液を汚す」4つの原因

2025年01月31日 公開

栗原毅(栗原クリニック東京・日本橋院長)

血液の汚れ

厚生労働省「国民生活調査」(2019)によると、要介護の原因となる病気の40%以上が「血管」に関わるものだと示されている。例えば、脳梗塞やくも膜下出血などの脳血管疾患は、血管が切れたり詰まることで起こる。つまり「血管」を若く保つことは健康寿命を延ばすことに繋がるのだ。

本稿では「血管と血液の健康を保つ」ために重要な対策について、生活習慣病予防に詳しく、「血液サラサラ」という言葉の提唱者の一人としても知られる栗原毅氏に、お話をうかがった。

※本稿は、『THE21』2024年2月号の掲載記事より、内容を抜粋・編集したものです。

 

これが血液を汚す! 4つの「凶悪原因」

血液に悪影響を及ぼす「4つの凶悪原因」

血液が汚れる原因は様々ありますが、中でも凶悪なものが4つあります。それは「糖」「中性脂肪」「ストレス」「歯周病菌」です。

「糖」は、体を動かす燃料となる栄養素で、生命活動には欠かせませんが、摂りすぎると血液がネバネバになり、流れが悪くなるだけでなく、ひどければ詰まりの原因になります。また、血中の糖が慢性的に増えすぎた
状態は糖尿病につながります。

「中性脂肪」は、糖が不足した際の代替燃料となるもので、体温を保ったり内臓を正しい位置に固定したりするといった大切な働きをしていますが、こちらも摂りすぎるとマイナスに作用します。体脂肪として内臓の周りや皮下に蓄積されて、それが血液に溶け出すと血液をネバネバにして体に様々な弊害をもたらすのです。特に内臓脂肪は血液を汚しやすく、あらゆる生活習慣病の原因になります。

また、「ストレス」も、血液の汚れの原因として見逃せません。

実は、ストレスが血液に与える影響はとても大きく、強いストレスを受けると、血液が一気にネバネバになり、流れが悪くなることもあるのです。心理的なプレッシャーだけでなく、過労や寝不足、運動のしすぎなどもストレスになりますから注意が必要です。

そして、ぜひ知ってほしいのが「歯周病菌」の血液への悪影響です。歯茎の出血した部位などから歯周病菌が血管内に侵入して全身を巡り、腸内細菌のバランスを崩して体の不調を招いたり、脳の炎症を誘発しアルツハイマー型認知症の原因の一つになっていることも明らかになってきました。

他にも様々な病気に歯周病菌が関わっていることがわかってきています。歯周病菌は血液中に絶対に漂わせてはいけない毒素だと覚えておいてください。

 

血糖値の上昇は少しの工夫で防げる

血糖値スパイク

これらの4つの「血液を汚す最凶原因」を押さえたうえで、すぐにできる効果的な対策をお伝えしましょう。

まず、「糖」と「中性脂肪」が体に過剰に溜まってしまうのは、どちらも糖質の摂りすぎが原因です。かといって、行きすぎた糖質オフ・ダイエットなどは、必要な糖質まで摂れなくなる恐れがあり、お勧めできません。

では、どうすればいいか。

そもそも、糖質の摂りすぎがまずいのは、血糖値が上がってしまうからです。特に空腹状態でご飯や麺類を食べると、「血糖値スパイク」という、血糖値の乱高下を招きます。

食後に眠くなるのは、急に上昇した血糖値が急降下しているからです。これを食事のたびに繰り返せば血管がダメージを受けますから、血糖値が急激に上がらない糖質の摂り方を心がける必要があります。

そのために効果的なのが「食べる順番」を意識すること。最初からご飯や麺を口に入れるのではなく、肉や魚、あるいは野菜から食べるようにしましょう。

肉や魚などを最初に摂ることで、タンパク質の吸収が良くなりますし、野菜に含まれる食物繊維が糖の吸収を穏やかにしてくれます。短時間でも血糖値が高すぎる状態があると、血管や肝臓にダメージがあると報告されていますから、「たかが食べ方」と侮ってはいけません。

「食べる速さ」も重要です。時間がないからと、丼ものや麺類を一気にかきこむのは、寿命を縮めるに等しい行為です。できれば、誰かと一緒に会話を楽しみながら食事をしましょう。食べるスピードを自然と抑えることができます。

一人の場合なら、テレビやスマートフォンを見ながら食事をしてもいいと思います。お行儀の点で良くないと思うかもしれませんが、生活習慣病の予防という目的がありますから、許容できる人も多いのではないでしょうか。

高カカオチョコレートは血管の味方

また、食事の前に「高カカオチョコレート」を1片(5g程度)食べるのもお勧めです。カカオポリフェノールの抗酸化作用が、血管を若々しく保つとともに、高血圧や高血糖、高中性脂肪を防ぐ効果もあります。

また、「糖質の吸収をゆるやかにする」「インスリンの効き目を上げる」といった作用もあり、血糖値スパイクの予防にもなりますから、まさにいいことずくめです。

 

ストレス解消にも血液にも良い運動

タオルグリップ運動

「ストレス」の解消方法は、人によって様々あると思いますが、血液をきれいにする点でも効果があるのは「軽めの運動」です。特に私がお勧めしたいのは、「タオルグリップ運動」と「ヒールレイズ」です。

「タオルグリップ運動」は、6のように、筒状にしたフェースタオルを「握って2分、1分休憩」を左右の手で2回ずつ繰り返すというエクササイズです。

このように筋肉の収縮を繰り返すと、体内で「NO」(エヌオー=一酸化窒素)が産出されることがわかっています。NOには、血管の壁にある筋肉をゆるめて血圧を安定させ、血流を良くする効果があります。

「タオルリップ運動」はNOの産出を促進するほか、リラックス効果もありますから、心を鎮めたいときにも効果的。

ヒールレイズ

図7の「ヒールレイズ」は、いつでもどこでも手軽にできる、ふくらはぎを鍛えるエクササイズ。ふくらはぎは「第二の心臓」と言われ、ポンピング運動で体の下部の血液を上に送り出す重要な働きを担っています。ここの筋肉が衰えていると、血液を上に送れず、全身の血流が悪くなってしまうのです。

ヒールレイズは、電車の吊り革につかまりながらでもふくらはぎを鍛えることができますから、ぜひ日々の習慣にすることをお勧めします。

 

口内が清潔だと血液もきれいに

そして、血液や全身にとって超悪玉菌である「歯周病菌」への対策として、「口腔ケア」が大変重要です。朝起きたらまず、喉が渇いていても水を飲む前に「口をゆすぐ」ことを習慣にしましょう。

口の中には、歯をきちんと磨けている人でも、約1000億の細菌がいると言われています。その中には歯周病菌も含まれ、それらが寝ている間に口の中で増殖しています。ですから、水を飲んだり朝食を食べたりする前に取り除く必要があります。

朝起きたらまず歯磨きをするのが理想ですが、それが面倒という人は、起きた直後に口をゆすぐだけでも効果はあります。

また歯を磨く際には、舌のブラッシングも忘れずに行ないましょう。実は、口内で最も悪玉菌が潜んでいるのが舌。口内細菌の約7割が舌にへばりついていると言われますから、できれば舌専用の「舌ブラシ」を使って、舌の表面の「舌苔」という白っぽい垢あかを優しく落とすようにしましょう。口臭予防にも効果的です。

そして、寝る前の歯磨きには「歯間ブラシ」を使うことをお勧めします。歯ブラシだけで除去できる歯垢は、実は61%程度というデータがあります。残りの多くは歯間に詰まっていて、放置すれば歯周病につながります。

その歯周病菌が多くの病気の原因の一つになっていることは、お話しした通りです。口の中をより清潔に保つことが、血液をきれいにすることにつながっていると考えてください。

血管と血液の健康を保つのに効果的な対策は他にもたくさんありますが、まずは自分のやりやすいものから始めてみて、徐々に増やしていくのが良いと思います。それらを意識せずに継続できる習慣にできれば、その人の血管と血液は、今より確実に若さを取り戻し、心身の状態もさらに良くなっていくはずです。

 

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