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中古マンション選びで避けるべき「管理に問題のある物件」の見抜き方

2025年03月28日 公開

長嶋修(不動産コンサルタント)

中古マンション

近年マンション価格は高騰しており、都心では新築マンションの平均価格が1億円を超えたという。予算の面から、中古マンションに目を向ける層も増えているようだ。不動産コンサルタントの長嶋修氏は、中古物件を選ぶ際に注意すべきポイントは「管理」だと語る。書籍『2030年の不動産』より解説する。

※本稿は、長嶋修著『2030年の不動産』(日経プレミアシリーズ)より内容を一部抜粋・編集したものです

 

中古マンション選びは「管理」が決め手になる

中古マンションのもっとも大きなメリットは、新築と比較して価格が安いことです。新築物件の販売価格には「新築プレミアム」と呼ばれる上乗せがあり、割高に設定されています。中古住宅は新築プレミアムが剝がれる分、エリアも条件も似たような水準の新築マンションに比べると、販売価格が抑えられています。

価格以上にメリットとして大きいのが、建物の竣工後から現在に至るまでの「管理」状況を確認してから買える点です。「マンションは管理を買え」とは昔から言われる言葉ですが、実際にマンションを活かすも殺すも、結局のところ管理次第です。

今、日本の人口の1割以上はマンションに居住し、その数は1500万人以上と推計されています。当然、その分だけたくさんのマンションがあるわけですが、なかには管理の状態に問題を抱えた物件も少なくありません。

そもそもマンションの管理とは、住民が快適かつ安全に居住するため、さらには資産価値をなるべく維持するために管理費や修繕積立金を集め、日々建物の点検や修繕を行い、管理組合の理事会や総会を定期的に運営することなどを指しています。

よく「マンションの管理は管理会社に任せておけばいい」と思っている人がいますが、マンション管理の主体はあくまで管理組合です。管理組合は、分譲マンションを区分所有している住民全員によって構成されるもの。組合への加入は、法律(区分所有法)で定められた区分所有者の義務です。

新築分譲直後は、マンションを分譲した業者からのつながりで、系列の管理会社が管理を担うのが一般的です。ただ、管理会社は管理組合の依頼を受けて仕事をしている立場に過ぎません。その契約は永遠に続くと決まったものではないので、組合側は途中で契約を打ち切ることができますし、逆に管理会社側から契約の継続を断られるケースもあります。

管理組合の総会や理事会の議事録を見ると、管理の実態や、そのマンションでどんな問題が生じているか、過度なクレームなどの問題行動が多いモンスター住民はいないかなどが、ある程度わかります。

一方、新築の物件は購入者に住戸が引き渡されてから管理組合が設立されるので、当然ながら管理の履歴はまっさらです。もちろん、どのような住民がいるかもわからず、出たとこ勝負になる怖さがあります。

管理の履歴がわかるにもかかわらず、きちんと調べずに問題がある中古マンションを買ってしまうと、遅かれ早かれ住みづらさを覚えるようになるでしょう。

さらには、資産価値が急落する恐れもあります。それは、タワマンのような高級マンションであっても例外ではありません。事前に管理について調べることは、中古マンションを買ううえで何よりも重要なのです。

 

避けるべき「管理に問題のあるマンション」の特徴

●住民の高齢化や空き家の増加で、そもそも管理組合が機能していない

昔ながらの団地をはじめとする築古マンションでは、往々にして多くの住民が高齢化しています。住民が亡くなったり、老人ホームに転居したりすることも多く、空き住戸が増えがちです。

好立地の物件であれば、新たな入居者が次々と入ってくる見込みがありますが、郊外エリアで駅から離れている不便な立地だと、そうはいきません。高く売るのはまず無理ですし、ほとんど叩き売りに近い安値をつけても売れづらい状態です。

結果、そのマンションの人口密度は、年を追うごとに低下していきます。高齢化が著しく、くしの歯が欠けたように空き住戸が目立つマンションにおいて、管理組合はほとんどあってないようなものです。住民が少なければあまり管理費が集まらないため、管理会社を雇うこともできなくなります。

管理会社を雇えなければ、住民が自分たちでマンション管理業務の一切を担う「自主管理」の状態になります。マンションの管理形態には「全部委託管理」「一部委託管理」「自主管理」の3種類があります。

全部委託管理は、マンション管理のほぼすべてを管理会社に任せる形態を指します。住民にとっては、管理組合員としての業務(理事を務める、総会に参加するなど)を最低限こなす必要はあるものの、ほとんどの雑務からは解放されるため、もっともラクな形と言えます。2025年時点では、日本にあるマンションの7割以上が、この全部委託管理を選択していると言われます。

これに対し、一部委託管理は管理業務の一部を管理会社に任せ、残りを管理組合で行う形態で、1割強のマンションが選択しています。新築分譲時の管理会社との契約は基本的に全部委託管理なので、一部委託管理を採用しているのは中古マンションです。

何を管理会社に任せるかはマンションによって異なりますが、たとえば難度の高い基幹業務は管理会社に委任。その一方、業務用の掃除機などを購入し、住民が持ち回りで清掃を行っているマンションも実際にあります。

基幹事務には、管理組合の収支計算書や予算案を作成したり、管理費や修繕積立金の徴収、業者への支払いを行ったり、マンションの修繕を計画・実施したりといった内容が含まれています。

逆に、清掃や設備メンテナンスなどは管理会社に任せ、基幹事務は組合のほうで担っているパターンもあります。住民の負担はそこそこ大きいですが、管理の一切合切を外注するよりも管理委託費が抑えられるのがメリットです。

最後に自主管理とは、管理会社を入れずにすべての管理業務を管理組合でこなしていく形です。目下、全体の1割近くのマンションが自主管理となっており、国土交通省の調査によると、その多くは昭和の時代に建てられた築古物件です。

あえて自主管理を選択し、マンション管理用のアプリなどを駆使して、住民自らが管理業務の一切を取り仕切っている先進的なマンションもあります。管理会社任せにせず、自分たちの手で自分たちの資産を守るという意識を持ち、住民同士で連携して必要十分な管理をローコストで実践するというのは、マンション管理の理想形と言えるでしょう。

しかし、その道のプロフェッショナルである管理会社にお任せにするのと比べると、かなり手間がかかるので、実現するにはやる気と根気が必要とされます。さらに、ある程度のノウハウも学ばなければなりません。リーダーシップをもって管理組合を導いてくれるような人材も必須でしょう。よって、現時点ではまだ自主管理で成功するのはなかなか難しいと言えます。

現実には、なし崩し的に自主管理になり、共用部の清掃や設備の点検、建物の修繕に手をかけることができず、結果として廃墟化が進む事例が数多く見られます。

近年、労働力不足に伴う人件費の高騰などを背景として、管理会社の委託費用は値上がりしています。さくら事務所が以前に行った調査によると、2017年からの7年間で管理費の平均額は約1.2倍に増額されていました。

今後も費用が下がる要素はあまり見当たらないため、2030年に向けて一部委託管理や自主管理を選択せざるを得なくなるマンションは増えていくでしょう。マンションを選ぶうえで、管理の形態を知ることは非常に重要になっていきます。

もし、あなたがマンション管理にかかわる雑務を引き受けたくないのであれば、全部委託管理のマンションを検討すべきでしょう。ただ、管理費は高額になりやすいので、ランニングコストを少しでも下げたいなら、今後増えていくと見られる一部委託管理のマンションも視野に入れることになります。

 

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