2025年03月06日 公開
いよいよ今年4月に迫った大阪・関西万博の開幕。しかし大阪が活気づいているのは、万博だけが理由ではないという。観光客も人口も増え続ける大注目の街・大阪だが、ワンルームマンションの価格は東京と比較すればほぼ半値。投資先としてのその魅力を、(株)リンクスの毛利英昭社長にうかがった。(取材・構成:坂田博史、写真撮影:五十嵐邦之)
【毛利英昭(もうり・ひであき)】
(株)リンクス代表取締役。ファイナンシャルプランナー。1972年福岡県生まれ、京都府育ち。立命館大学経済学部卒業後、金融業界、大手マンションディベロッパーを経て、2009年に独立。FPの立場から不動産投資セミナーや個別相談会を行ない、手がける物件は大阪市内中心部のワンルームマンションに特化。管理する物件の入居率は99%以上を維持し、購入物件の紹介・リピート率は8割を超える。
――いよいよ大阪・関西万博が4月に開幕します。
【毛利】2025年は、世界が大阪に注目する年になるのではないかと期待しています。最大の理由は、大阪・関西万博が4月から10月まで開催されるからですが、実はそれだけでなく、大阪駅北地区、通称「うめきた」も昨年の先行オープンに続いて本格開業します。
ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)の人気も非常に高く、2023年の1600万人超という来客数は東京ディズニーランド以上、日本一です。2030年開業予定の大阪IRの建設に向けた準備工事も始まりました。
――外国人を含め、多くの人が大阪を訪れ、活気とにぎわいにあふれそうです。
【毛利】観光客が大幅に増えることは間違いありません。そして、観光客が増えるということは、それを迎え入れるために働く人が増えるということです。実際、大阪市の人口は都心部を中心に増え続けており、中でも20代の人口増加が顕著です。
若い人たちが住むワンルームマンションの需要は拡大しており、供給が間に合わない状況で、私たちが管理する物件の入居率は99.9%。空室になってもすぐに埋まる状況が続いています。
――それほど需要があるのなら、どんどん新築が建っているのではないですか。
【毛利】いえ、私たちが取り扱っている中心部の6区(中央区、浪速区、北区、西区、天王寺区、福島区)および新大阪エリアに限って言えば、新築物件は増えていません。
なぜなら、ワンルームマンションより、建築費の安いホテルを建てたほうが儲かるから。1室約12平米のビジネスホテルでも1泊1万円以上。インバウンドも回復し、稼働率も上がっていますので、マンションディベロッパーまでもがホテルを建設しています。
その結果、不動産に関する調査会社、東京カンテイによれば、コロナ前の18、19年には、大阪市内中心部に年2000戸以上、新築ワンルームが供給されていたのに対し、24年は100戸に満たない数しか供給されておらず激減しています。
――若い人たちが住むワンルームが足りなくなりますね。
【毛利】ですから、東大阪市や堺市など、大阪市外のワンルームに住む人たちが増えています。
――となると、御社の商圏も広がっているのですか。
【毛利】私たちは立地にこだわり、大阪市中心6区と新大阪エリアの中古ワンルームマンションに限って販売・管理を続けています。それがお客様の投資にとってベストだからです。
このエリアは法人の借り上げも多いため、値崩れする可能性が低く、中古販売価格が上がっているとはいえ、それでも東京のほぼ半値。首都圏のお客様に大阪の物件を紹介すると「安いね!」と言ってくれます。
――東京のマンションが高騰しているのはニュースでもよく耳にしますが、大阪も上がっているのですね。
【毛利】東京では、オリンピック前に約3000万円で買った物件が、4000万円、5000万円で売れています。新築時の価格が一番高く、古くなればなるほど価格が下がるのが不動産売買のこれまでの常識でした。しかし、いまは違います。築10年の物件が新築時と同価格で売れる時代になっています。
大阪は、東京に比べると世界的な知名度が低かったのですが、万博で認知度が上がり、都市の評価も上がるのではないでしょうか。それらにともない不動産価格もさらに上がっていくことが予想されています。
――いまがチャンスということでしょうか。
【毛利】そうです。資産形成に関しては、「何もしないリスク」がどんどん高まっています。経済がデフレからインフレに転換したことで、投資の常識も大転換した。そう考えたほうがいいのではないでしょうか。
――新築がほとんど建っていないということは、購入できる物件も少ないのでは?
【毛利】おっしゃる通りです。それでも、相続を機に現金化を希望される方など、様々な理由で手放される方もいます。私たちはこの限られたエリアで実績を積み、信頼を築いてきたことで、優良物件の販売を任せてもらっています。
もちろん、紹介できる物件がないときもあります。そのときは正直に「いまはありません」と伝えて待ってもらっています。寿司屋でウニを注文したときに、「今日は美味しいウニがないからウニは出せない」と言われるのと同じです。お客様の信頼を裏切ることはできません。
――物価が上昇するなか、家賃も上がっているのでしょうか。
【毛利】私は賃貸物件を取り扱う不動産会社の社長さんたちとも太いパイプがあり、常に情報交換を行なっていますが、まだそれほど上がっていません。
ただ、契約更新時に1000円でも上げられるよう家賃相場に細心の注意を払っており、上げられる物件からすでに上げ始めています。家賃相場の細かいリサーチも、私たちが管理する全物件の賃貸価格を決めるのも私の仕事です。
――社長自ら、そこまでやるのはなぜですか。
【毛利】家賃が上がると、家賃収入が増えるだけでなく、売却時の物件価格が上がるからです。細かい計算は省きますが、いまの大阪の中古物件では家賃が3000円上がれば、物件価格がおよそ100万円上がります。
不動産仲介業者には、売買取引が終わったら、あとは何もしない会社も多いのですが、私たちはアフターサービスにもこだわって力を入れています。それは購入いただいたオーナーだけではなく、賃貸入居者に対しても同様です。
「年賀状じまい」が話題になりましたが、私たちはオーナーにも、入居者にも、関係するすべての人たちに年賀状を送っています。リンクスという社名には、多くの人たちとの縁やつながりを大切にしたいという想いが込められているのです。
――お客様同士のつながりも大事にされているそうですね。
【毛利】はい。オーナーたちが集まって交流できる場をつくっています。不動産投資の初心者からベテランまでいますので、仲間同士で色々な話ができると好評です。中には家族ぐるみの付き合いをされていて、一緒に旅行に行かれる人たちもいます。
大阪、万博後も、2030年にIR(カジノを含む統合型リゾート)の開業が控え、梅田駅とJR難波駅、南海本線の新今宮駅をつなぐ、なにわ筋線も2031年に開業予定です。さらにはリニア中央新幹線が新大阪駅まで延伸されます。
ヒルトン最上級の「ウォルドーフ・アストリア大阪」(2025年4月開業予定)など、ラグジュアリーホテルが次々と開業しているのは世界の富裕層が来阪するからでしょう。大阪はこれからまだまだ成長する将来性豊かな都市だと考えています。
更新:03月26日 00:05