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地方副業の始め方 特徴が様々な「企業とのマッチングサービス」

2025年02月18日 公開

杉山直隆

地方副業の始め方

徐々に浸透しつつある地方副業。ライターの杉山直隆さんによれば、地方副業は社会人にとってのリスキリングになると語る。本稿では、地方副業を始めるにあたって肝心な「マッチングサービス」について、著書『地方副業リスキリング』より紹介する。

※本稿は、杉山直隆著『地方副業リスキリング』より内容を一部抜粋・編集したものです

 

まずはマッチングサービスをのぞいてみる

本稿では、実際に地方副業・プロボノを始めるための方法について解説していきましょう。地方企業やNPOでの副業・プロボノを探すうえで最も一般的な方法は、マッチングサービスです。

人手不足に悩む地方企業と自分のスキルを活かしたい首都圏のビジネスパーソンを副業でつなぎ合わせるマッチングサービスが、2010年代後半から次々と立ち上がりました。マッチングサービスは民間の人材会社や地域活性化に取り組むNPOが提供しています。

たとえば、下のリストのようなマッチングサービスがあります。最近は、地域に人を呼び込もうと、自治体や地銀、信金などがマッチングサービスと積極的に提携・連携し、マッチングプロジェクトをおこなっています。

まずはこれらのマッチングサービスをのぞいてみると良いでしょう。サービスによっては自分の条件に合った求人が出てきたときにメールで教えてもらえるので、ひとまず複数のサービスに登録すると良いでしょう。

ふるさと兼業(NPO法人G-net) https://furusatokengyo.jp/

Skill Shift(みらいワークス) https://www.skill-shift.com/

複業クラウド(Another works) https://talent.aw-anotherworks.com/

lotsful(パーソルイノベーション) https://lotsful.jp/

HiPro Direct(パーソルキャリア) https://direct.hipro-job.jp/lp/pro/

JOB HUB LOCAL(パソナJOB HUB) https://travel.jobhub.jp/

YOSOMON!(NPO法人ETIC.) https://yosomon.etic.or.jp/

サンカク(リクルートエージェント) https://sankak.jp/

サービスグラント(認定NPO法人サービスグラント) https://www.servicegrant.or.jp/

 

マッチングの仕組みやコーディネーター。マッチングサービスもいろいろ

マッチングサービスは、同じように見えるかもしれませんが、よく見るとさまざまな特徴があります。以下のポイントを見ていくと良いでしょう。

1.案件の種類

サービスによって案件の多さは異なります。案件の種類もまちまちで、地方企業の求人に絞っているサービスもあれば、首都圏の中小企業やスタートアップも含んでいるサービスもあります。「自治体の案件が多い」「スポーツ系の案件が充実している」「特定地域・業務の求人が多い」などの特徴もあります。報酬に関しては、報酬が得られる副業だけでなく、報酬の発生しないプロボノを紹介しているサービスもあります。プロボノに限定しているサービスもあります。

2.マッチングの仕組み

マッチングの仕組みもいくつかあります。多いのは「プラットフォーム型」と「メディア型」です。人材会社や地域活性化を手がけるNPOが、受け入れ企業が副業・プロボノ人材を募集できるプラットフ
ォームやメディアを用意。企業は募集広告や記事を掲載し、募集してきた人と直接やり取りします。

利用料は広告掲載や案件の成立などで発生することがあり、プラットフォームによって異なりますが、いずれも支払うのは企業側で、副業・プロボノ人材は費用負担なしで利用できます。また「あっせん型」は、人材会社などが、人材を募集したい企業の要望を聞き、最適な人材をスカウト・あっせんする仕組みです。この場合も、企業側が人材紹介料を支払います。

一方、「再委託型」は、企業から業務の委託を受けたマッチングサービス会社が、人材を選定し、仕事を再委託する仕組みです。つまり、副業人材が契約するのは、地方企業ではなく、マッチングサービス会社なので、地方企業から報酬が支払われないというトラブルを防げます。

 

①再委託型

企業から業務の委託を請け、当該業務に関する仕事をマッチングサービス会社が選定した最適な人材に再委託。〈人材仲介エージェント、システム開発会社など〉

再委託型

・特徴 契約期間中、企業がマッチングサービス会社に業務委託料を支払う業務進捗管理はマッチングサービス会社が実施し、受け入れ企業に報告

・企業の費用負担 業務委託料(契約期間中)※仲介エージェントのコーディネート料を含む

・人材の費用負担 なし

 

②あっせん型

企業と人材との間で、業務委託の仕事のあっせんをおこなう。〈人材仲介エージェントなど〉

あっせん型

・特徴 契約成立後に仲介費用を支払う。契約期間中、副業・兼業人材に業務委託料を支払う ※オプションとして伴走支援サービス(有料)がある場合も

・企業の費用負担 人材紹介料(成約時)+業務委託料(契約期間中)

・人材の費用負担 なし

 

③プラットフォーム型

企業と副業人材が業務委託の仕事の募集から契約締結までを直接おこなうことができるプラットフォームの運営をおこなう。〈クラウドソーシング、シェアリングエコノミーなど〉

プラットフォーム型

・特徴 マッチングサービス会社のシステムが介在して募集から成約までサポート。企業はプラットフォームを経由して副業・兼業人材にアプローチ。企業がサービス利用料をマッチングサービス会社に支払う。契約期間中、副業・兼業人材に業務委託料を支払う

・企業の費用負担 サービス利用料(成約時)+業務委託料(契約期間中)

・人材の費用負担 基本的にないが、現地までの交通費・宿泊費は人材負担のことがある

 

④メディア型

直接契約型でマッチングサービス会社は人材募集のみ。業務委託案件の募集情報を掲載できる募集広告メディア、ネット掲示板、SNS等の運営をおこなう。〈募集広告メディア、インターネット掲示板、SNSなど〉

メディア型

・特徴 企業が募集時に募集広告費をマッチングサービス会社に支払う。契約期間中、兼業・副業人材に業務委託料を支払う ※オプションとして伴走支援サービスがある場合も(有料)

・企業の費用負担 募集広告掲載費(募集時)+業務委託料(契約期間中)

・人材の費用負担 基本的にないが、現地までの交通費・宿泊費は人材負担のことがある

 

目的を明確にするに越したことはない、が

地方副業・プロボノを探すにあたり、理想的なのは、「目的を明確にしたうえで探すこと」です。

リスキリングと一言で言っても、「本業に直結する仕事の経験を積みたい」と、「異業種の仕事を経験して視野を広げたい」とでは選択肢が違ってきます。また、スキルアップではなく、お金を稼ぎたいと言う人もいるかもしれません。

いずれにしても、目的に合わない受け入れ企業を選んでしまうと、副業人材にとっても企業にとっても、良いことはありません。何のためにおこなうのかを、事前に考えたほうが良いでしょう。

ただし、目的を細かく設定して、それに合った案件だけにこだわると、案件が選べなくなることもあります。ある程度、目的に合っている案件で、経営者の思いに共感できる案件なら、チャレンジしても良いでしょう。

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