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「パソナ淡路島移転」の現在...食や文化、知られざる“地方創生の取り組み”

2023年07月04日 公開

THE21編集部

 

コロナで起きた働き方の地殻変動

新型コロナウイルスの感染拡大以降、2021年に東京都の総人口が年間4万8592人減と26年ぶりの減少を記録し、東京一極集中の緩和が注目されたが、翌2022年には4万6732人増と前年の減少分を取り戻すかのように再び増加に転じた。

しかしコロナ前のような勢いで東京一極集中が進み続けるのかといえば否であり、コロナ禍は確実に日本人のライフスタイルやワークスタイルの意識を大きく揺さぶり、働き方や暮らし方に地殻変動が起きつつある。  

多くの人がリモートワークを経験したことで、リモートワークについての企業や社会の理解が深まり、働く場所を問わない多様な働き方の可能性が広がった。

さらに職場と仕事の分離が起きて、地方に暮らしながら都市部と同じ仕事をしたり、都市部で暮らしながら地方で兼業や副業の仕事をする人も出始めた。ワーケーション等を利用して一定期間、地方に滞在して働くといった多様なかたちも生まれつつある。  

内閣府の調査によれば、東京圏在住者で「地方移住に関心がある」と回答した割合は、全世代で2020年が30.2%、2021年が33.2%、2022年が34.2%、2023年が35.1%とコロナ禍が収束しても年々増え続けている。多くの日本人が、地方移住への関心を潜在的に持っていた証左である。

パソナによる地方創生への挑戦は、首都・東京と対立軸で評価すべきものではなく、都市部には都市部の生き方・働きがいがあり、地方部には地方部の生き方・働きがいがあることを証明している。過疎地を東京に近づける町おこしではなく"地方創生"そのものが次世代ニッポンの基幹産業になりうる予感がした。  

 

【コラム】アバターが生み出すハイブリッド営業

現在、パソナの主力事業となっているのが、BPO(Business Process Outsourcingの略)サービスであり、企業や団体の総務・庶務、経理・財務などの各種事務業務を受託している。その進化系とも言えるのがアバターを活用した接客業務のBPOサービスである。

電話を活用した地方拠点(コールセンター)のビジネスモデルは30年以上前からあるが、電話での接客業務には顧客クレームなどストレスを伴うものが多い。

しかしアバターという仮想人格を介することで接客に一定の距離感を保つことができるうえ、顔や声の変換はもちろんのこと、性別をも変えることができるため、たとえば定年男性が女性社員に扮して接客することもできる。次世代のハイブリッド営業といえる。

ちなみに完全な仮想人格である「AIアバター」については、現段階では、事実誤認が発生したり、嘘をつくリスクがあるため実用化には至っておらず、アバターに扮するにしても営業のプロとしてのある程度のコミュニケーション能力は不可欠である。  

アバター
アバターは、センサー感知によって身振り手振りまで再現することができる。語弊を恐れずにいえば、ゲーム感覚で営業したり、遊び心を持ちながら働くことができる。

 

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