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原因物質は40代から蓄積する?認知症リスクを抑える「4つの習慣」

2023年02月02日 公開

広川慶裕(ひろかわクリニック院長)

 

有酸素運動よりも「筋トレ」が効果的

広川慶裕 マイルドスクワット
「運動習慣」人物イラスト:小川かりん

次に、運動も忘れてはいけません。実は、パズルなどの「脳トレ」よりも身体の運動のほうが、「認知症予防」という点ではエビデンスが豊富です。

最近では「毎日ジョギングをしている」という方も増えましたが、私としては、有酸素運動よりも筋トレのほうが効果的だと思います。

理由としては、筋トレの後に筋肉が修復・成長する際に出るホルモンが、脳神経の成長・発展に作用するから。なお、ストレッチやスポーツ等で「骨に刺激を与える」場合でも、同様の機能を持ったホルモンが分泌されます。

それに、多忙で運動の時間なんて取れないという方も、「マイルドスクワット」などなら、すき間時間にできるのではないでしょうか。

それも難しい場合には、デスクワーク中に足にグッと力を入れ、床に強く押しつけるだけでもある程度の効果が期待できます。大腿四頭筋を鍛えられるうえ、人からは運動しているように見えません。1日に数回程度でも、ぜひ取り入れていただけたらと思います。

有酸素運動では「スロージョギング」に注目です。わざとゆっくり、歩くような速さで行なうジョギングのことですが、実はかなりキツい運動。ウォーキングの1.5倍程度は運動効果があると見積もられています。

このとき、足指のつけ根あたりで着地すると足を痛めることがありません。より負荷をかけたい場合は、時々わざとかかとから着地して骨に刺激を与え、先ほど申し上げた「骨が刺激を受けた際に出るホルモン」の分泌を促すのも効果的です。

 

「百人一首」は最強の脳活ツール

脳トレのような頭を使うタイプの対策は、とにかく色々な種類のものを試すのが肝。特定の分野だけに取り組んでいても、脳機能の全体的な向上や認知症予防の効果はあまり期待できません。

お勧めは、2つのタスクをかけ合わせる「デュアルタスク」です。例えば、先ほどご紹介した「スロージョギング」をしながら、道行く車のナンバープレートを足し算してみる、などは非常に効果的でしょう。

また、何か文章を声に出しながら書き写す「音読&書写」の組み合わせも効果的。音読は文字を認識し、それを声に出し、耳で確認を取る複合的な作業です。そこに「書き写し」の作業を加えれば、脳を満遍なく回転させることができるでしょう。

さらなる活性化を図るなら、自分の好きな小説や詩の一節でやってみるのもお勧めです。特に推奨するのは「百人一首」の歌の数々。文字数も適度で、教養も深まる。さらに、なんといっても音読したときの「読み味」が最高です。まさに一石何鳥にもなる題材だと思います。

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