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忙しいのに手応えがない管理職が見失っている、たった一つのこと

2026年04月27日 公開

中尾隆一郎(株式会社中尾マネジメント研究所(NMI)代表取締役社長)

中尾隆一郎

連載「やることが多すぎる管理職の"ラクになる思考法"」では、経営者やリーダー育成に携わる中尾隆一郎さんがマンガと文章を通して、プレイングマネジャーが成果をあげるために"部下が自律自転できる仕組みづくり"を解説していきます。

「第4章:問題の課題化」「第5章:ROIによる選別」を経て、不必要な仕事を削ぎ落とす術を学んできました。しかし、それでもまだ「なぜか忙しい」「手応えがない」と感じているなら、根本的な原因は別のところにあります。それは、ゴールを見失ったまま全力疾走していることです。

今回は、ハイパフォーマーが共通して実践する仕事の「型」=「G-POP(ジーポップ)」を導入し、すべての仕事を"ゴール直結型"に変える方法を解説します。

(マンガ:オケ)

 

ゴールから逆算する仕事術

【今回の登場人物】
荒巻課長(42):優柔不断で頼まれると断れない。今の状況を抜けだそうと奮闘している。愚痴っぽい。
目黒部長(57):荒巻の上司。圧が強め。感覚重視で突っ走るタイプ。
大崎さん(26):デジタルツールを駆使して効率化が得意。指示されたことだけやる。

中尾隆一郎

中尾隆一郎

中尾隆一郎

中尾隆一郎

 

「手段の目的化」という、生産性最大の敵

多くの若手ビジネスパーソンは、期初に目標(Goal)を設定します。しかし、その目標を毎日、あるいは定期的に意識して仕事ができているでしょうか?

実際には、目標シートを読み返すのは「評価面談の直前だけ」という人が少なくありません。その間、日々何をしているかといえば、絶え間なく届くメールへの返信、突発的なトラブル対応、依頼されただけの資料作成......。

つまり、「目の前の作業(手段)」をこなすこと自体が目的になってしまっているのです。
手段が目的化した仕事は、どんなに丁寧に、かつ迅速にこなしても、本来達成すべき成果には繋がりません。この「手段の目的化」こそが、ホワイトカラーの生産性を著しく下げる最大の要因です。

 

成果を出し続ける「G-POP」マネジメントとは

G-POPとは

G-POPとは、私が多くのハイパフォーマーを観察・分析し、体系化したフレームワークです。彼らは意識的、あるいは無意識のうちに、以下の4つのステップで仕事を回しています。

G(Goal):ゴール・目的=最終的に何を実現したいのか?
P(Pre):事前準備=ゴール達成のためのシナリオ・段取りを描く
O(On):実行・修正=準備に基づき実行し、状況に合わせて柔軟に修正する
P(Post):振り返り=結果を評価し、学びを次の仕事に活かす

PDCAやOODAなど多くの仕事の型がありますが、G-POPの最大の特徴は、すべての起点が「Goal」にあり、常にそこへ立ち返るという点にあります。

 

すべての業務の前に「G」を問う習慣

あなたは会議に出る前、資料を作る前、あるいは部下に指示を出す前に、「この仕事のGoalは何か?」と自問自答しているでしょうか。

例えば、毎週の「定例会議」を例に考えてみましょう。「月曜日だから」「みんなが集まることになっているから」というのは理由であって、Goalではありません。本来のGoalは「今週の優先順位を確定させること」や「懸念事項の解決策を合意すること」であるはずです。

もし、今回の会議のGoalが単なる「情報共有」であれば、わざわざ全員の時間を奪って集まる必要(On)はありません。チャットツールやメールで共有するだけで十分です。

「この仕事のGoalは何か?」

このたった一つの問いを挟むだけで、実はゴールに関係のない仕事が世の中には溢れていることに気づきます。Goalに繋がらない仕事は、即座にやめるか、極限まで簡略化すべきなのです。

 

「Pre(事前準備)」が勝敗の8割を決める

Goalが明確になったら、次に行うべきは「Pre(事前準備)」です。

多くの人は、仕事の依頼(Goal)を受けると、焦りからすぐに「実行(On)」に移ろうとします。しかし、ハイパフォーマーは実行前の「準備」にこそ最も多くの時間を使います。

・Goalの解像度を高める:上司から「売上を上げろ」と言われたら、「いつまでに?」「どの商品で?」「既存か新規か?」と徹底的に確認し、成功の定義を具体化します。

・シナリオを描く:「どうすれば最短でGoalに到達できるか?」を考え、必要なリソース(人・モノ・金)を手配し、発生しそうな障害をあらかじめ予測します。

このPreが甘いと、実行段階で「あのデータが足りない」「想定と違う」といった手戻りが発生し、結果として長時間労働を招きます。逆に、Preさえ完璧なら、実行(On)はシナリオをなぞるだけ。想定外の事態が起きても、Goalが明確なので柔軟に軌道修正ができるのです。

 

「Post(振り返り)」で自分だけの勝ちパターンを作る

仕事が終わった後の「Post(振り返り)」も、次なる時短への投資です。
うまくいった場合:「なぜ最短で終わったのか?」を分析し、再現性を高める。
失敗した場合:「どこでGoalから逸れたのか?」を確認し、再発防止策を練る。
この振り返りを習慣化することで、あなたの中に「成功の勝ちパターン」が蓄積されていきます。経験を積むほどにPreの精度が上がり、Onの時間が短縮される。これこそが、デキるビジネスパーソンの成長サイクルです。

 

攻めに転じるための「守りのマネジメント」完成

ここまで、第4章から第6章にかけて「守りのマネジメント」を解説してきました。

問題の課題化:目の前のノイズに惑わされず、本質を見極める。
ROIの視点:投資対効果の低い仕事を勇気を持って捨てる。
G-POPの実践:すべての仕事をGoal(目的)から逆算してフィルタリングする。

これらを徹底することで、あなたの手元には、これまでになかった「空白の時間」が生まれているはずです。

この時間は、単に身体を休めるためのものではありません。この空白こそが、次なるステップ——チーム全体の生産性を高め、メンバーを自律させる「攻めのマネジメント」に投資するための、極めて貴重な原資となるのです。

【今日からできるアクション】
明日、最初に着手するタスクの前に、付箋に「この仕事のGoal(最終成果)は何か?」と書いて貼ってみてください。作業中に迷ったら、その付箋を見て「今やっていることはGoalに近づいているか?」を確認する。これだけで、あなたの仕事の質は劇的に変わります。

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