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個別株には手を出さない...投資歴25年「パックン流・超堅実な投資術」

2022年08月04日 公開
2024年08月29日 更新

パトリック・ハーラン(タレント/お笑い芸人)

 

低リスクから土台を作るお勧め「投資ピラミッド」

――個別株は買わないのですか?

【パトリック】投資をし始めた頃、個別株を買って大やけどをしたことがあるんです。スタンフォード大を出た友人の一人が、IT株で大儲けしていたんです。うらやましいなと思って、僕も色々買いました。

ところが1999年にITバブルが崩壊。ビビって全部売ってしまったんです。その友人に株価が大きく下がってしまったことを半ばなじるように報告したところ、「まだ売ってなかったの?」と言われました(笑)。友人は利益が出たところでとっくに売ってしまっていたんですね。

専業の投資家は一般投資家とはけた違いに情報を持っていますし、センスがある人もいる。この出来事で、自分だって個別株で儲けられると傲慢になるよりも、投資に関して僕はあくまで堅実に、謙虚でありたいと思いました。それによく考えると株の取引って裏があると思いません?

――裏、ですか?

【パトリック】僕がA社の株を買おうとするとき、誰かがA社の株を売ろうとしているわけです。なぜ売るんですかね? あるいは僕がA社の株を売る。喜んで買う誰かがいるわけです。

なぜ買うのか?「へえ、あなた、この株、売るんですか。これから上がるのに」とほくそ笑んでいる人がいるんじゃないかなって、考えてしまうんですよね(笑)。

――なるほど。

【パトリック】投資の神様と言われるウォーレン・バフェットすらインデックスファンドへの投資を勧めていますからね。僕の投資に対する考え方は非常に堅実です。ピラミッドで説明すると、投資をするには、まず収入と健康が大前提。ここをしっかり固めないと投資はできません。

――ピラミッドの土台ですね。

【パトリック】はい。そのうえで、リスクの低い債券を買う。基盤ができたら株式のインデックスファンドを買って資産を増やし、最後に余剰金を使って、遊びで少しだけ個別株を買ってもいいかな、という考え方です。要するにリスクごとにピラミッド型になっているわけです。

ただしこれは僕の考え方なので、すべての方にパックン流の投資が当てはまるとは考えないでくださいね。

 

20代で買ったジュースが70代で4800円に変わる!?

――パトリックさんは現在53歳ですが、老後に向けてどのような資産運用を考えていますか?

【パトリック】僕は幸い健康なのでまだ働くつもりですが、あと10年くらいしたら、株と債券の割合を5分5分に持っていって、より安全な投資にシフトしていくかもしれませんね。基本的に、老後は元本に手をつけず、配当や利息、不動産収入で暮らしていけるようにしたいと思っています。

――理想的ですね。そうなるために今からでも40代・50代の読者ができることは何かありますか?

【パトリック】僕は「老後計算機」を常に頭の中に持ち歩くことをお勧めしています。

――「老後計算機」?

【パトリック】今目の前のその消費を投資に回したら、老後いくらになるかをパパっと計算できる計算機です。例えば、今20歳の人が150円のペットボトルのジュースを買ったとします。この150円を利回り7%で運用したら、70歳のとき、いくらになっていると思いますか?

――すぐには計算できませんね。いくらでしょう?

【パトリック】7%の利回りなら、10年ごとに倍々になっていくと覚えておいてください。つまり30歳には300円、40歳で600円、50歳で1200円、60歳で2400円、70歳では4800円です。

――おお!

【パトリック】だから僕は若い人がジュースを買っているのを見ると、すぐ注意したくなる。「その150円は、70歳のあなたから4800円を奪っているのと同じだよ」と(笑)。

――なるほど。ただ、今40代・50代だともう遅くはないですか...。

【パトリック】そんなことはありません。今50歳の人が150円のジュースの代わりに水道水を飲んだら、60歳でジュースが2本、70歳でジュースが4本飲めますよ。

それに子や孫の代まで資産を残すと考えたらどうでしょう? 50歳で150円のジュースを節約したら、50年後には4800円になっている。それだけのお金を子孫に残せるんです。

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