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上手い企業は“動作の絵コンテ”を用意する? オンライン配信成功のコツ

2022年07月18日 公開

平田幸一(〈一社〉日本オンライン講師アカデミー代表理事)

 

セミナーの進行に必須の「テクニカルサポーター」

オンラインセミナーの規模が大きくなればなるほど、1人で仕切るのは難しくなります。オンライン配信を行なう際の人員や役割分担についても触れておきましょう。

私がオンラインセミナーを行なうときは、常にテクニカルサポーター(手伝ってくれる人)を1人つけています。

そうすることで、万が一、セミナー中にシステムがダウンした場合でも、テクニカルサポーターのシステムにすぐに切り替えれば、システム復旧までのタイムラグを最小限にとどめられます。システムを2重にしておくため、というのが大きな理由です。

また、オンライン上で何グループかに分かれて話し合える機能を使うとき、講師がどこかのグループに入ってしまうと、他のグループからヘルプを求められても気づけません。

テクニカルサポーターがいれば、他のグループからのメッセージを講師に伝えることができます。大局的な動きを見るのもテクニカルサポーターの役割です。

また、テクニカルサポーターがついていれば、ブレイクアウトのグループ変更などの操作も任せられます。

それを講師がやろうとすると、焦ってしまい、あたふたしている様子が画面を通して受講生に伝わって不安を感じさせてしまいます。

機器の操作はテクニカルサポーターに任せて、「では、これから別のグループに分かれてディスカッションしてもらいます。いってらっしゃい」とスムーズに進行したいものです。

セミナー中は時間管理も重要です。私の場合は、タイマーアプリを起動させたスマホを目の前に置いています。

タイマーを使う際のコツは、時間が減っていくようにセットすることです。時間は「ある」のではなく、「減っていく」ものなので、残り時間で管理していきます。

また、プログラムを作る際に、優先順位をつけておくことも重要です。時間が足りなくなったら、優先順位の低いものから外していく。引き算で物事を組み立てるスキルがプロフェッショナルには求められるのです。

講師が話し続ける時間は、5分を目途にします。それ以上かかる場合は、画面を資料に切り替えるなど、単調にならない工夫が必要です。

講師がただ話すだけのオンラインセミナーでは、受講生の満足は得られません。画面をアクティブにしつつ、ライブ感も加える。そのためには、準備に勝るものはないのです。

【平田幸一 (一社)日本オンライン講師アカデミー代表理事】
大学卒業後、電機メーカーにて商品企画部門に従事する。1995年に独立し、情報システム開発会社を創業。その後、経営コンサルタント分野に進出し、2003年には(有)ならがよいを設立、代表取締役を務める。企業経営や情報戦略、人材開発コンサルティング、大手研修機関や投資機関での講演、月20件以上のオンラインセミナーも手がける。併せて、奈良のビジネス創出に向けた活動を行なっている。著書に『プロとして使うZoom [ 決定版]』(インプレス)がある。

(※『THE21』2022年8月号特別企画「ワンランク上のオンライン配信・セミナー術」より)

 

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