2021年11月12日 公開
2023年02月21日 更新
須藤亮氏は、博報堂で35年間、マーケティング職やストラテジックプランニング職として数々の企業を担当。海外でもバンコクを皮切りに、香港、広州、北京でも活躍し、現在は独立して、様々な企業のマーケティング、ブランディング、コミュニケーション戦略プランニングなどのコンサルティングや地方創生事業などを行なっている。その知見をもとに、プレゼンの勘所を教えてもらった。
※本稿は、須藤亮著『トッププレゼンターが教える「企画書とプレゼン」実践講座』(日本実業出版社)の一部を再編集したものです。
企画書の要(かなめ)は「戦略」です。相手の1番聞きたいところも戦略とそれに基づく「施策」でしょう。そうなると、そこに辿り着くまでにいかに相手を飽きさせず盛り上げるかがプレゼンの1つのカギになります。
具体的には、現状分析から課題の設定に向けて徐々に読み解いていき、戦略に辿り着くわけですが、その途中で戦略が容易にバレてしまうとなるとプレゼンの効果は半減します。
ですので、プレゼン中は戦略の部分で使うキーワードなどを、その前の段階で決して見せないように工夫します。
よくある悪いケースですが、プレゼン直前の挨拶時に、上司自らいかに自分たちがよく考えてうまい提案に仕立て上げたかを話し、勢い余って聞き手に今回の根底になる考え方やキーワードを口を滑らせて言ってしまうことがあります。
そうなってしまっては、プレゼン時に再びその箇所を熱くしゃべっても、相手にインパクトを与えることはできません。相手のワクワク感を維持するためのちょっとしたティップスは、肝心な場面まで答えを見せないことです。
次に、プレゼンターが心がけるべき意外に大事なことをお伝えします。それは、「言葉のつなぎ方」です。ロジカルに書かれた企画書は、極端な話、棒読みすれば、言いたいことは伝わるはずです。
しかし、いかにプロフェッショナルな雰囲気をまとわせるかが勝負になります。
その時、意外に大事なのが「つなぎ言葉」です。企画書の文章を、いかに適切な言葉でつなぎ、補強するかが重要なのです。有効な「言葉のつなぎ」を加えることで説得力が俄然異なってきます。
例を挙げると、[街の本屋さんの再生]の「課題の考え方」のプレゼン原稿を、以下のように補強します。( )の部分が、補強の文章や接続詞です。
「今回の課題の考え方ですが、(売り上げ不振の)原因(1)、(すなわち、)本を買って読む人が減少は、いち本屋での解決は難しい(でしょう)。
(ならば、)もう1つの要因、(つまり、)ネットに流れているお客様を何とかすること(に課題を設定します)。
(何故なら、)他の本屋のように何らかの活動をやって存在感を増すことで、この本屋さんのかつてのファンを引き戻すことができれば、客離れを解消できる(可能性があるからです)」
この中で、( )の部分は、企画書には書いてありません。それをプレゼンターが適切に付け足すことで話がスムーズに流れるのです。
また、同様に重要なのがプレゼンの「冒頭と締めの言葉」です。
例えば、「今回、御社の期待に応えるため我々の知恵を総動員して考えてまいりました」とか、「我々の提案によって御社の懸案の課題が解決できると確信しております」とかいう言葉です。
プレゼンターの態度として、「熱意」や「謙虚さ」が必要ですが、プレゼンの冒頭部と最後の締めの言葉を選ぶことで、このような態度が相手に伝わり、好感が持てるものとなるでしょう。
更新:11月22日 00:05