2021年11月10日 公開
2023年02月21日 更新
一つ上の企画書の極意の2つ目は、ロジカルであることです。
これも新興国で経験したことですが、戦略と施策が連動していないことが多々ありました。
その原因は、前半部分を書く人と後半部分を書く人が違うからです。それぞれが勝手に自分の言いたいことを書いているわけで、これでは聞き手は提案が頭に入らないどころか、クライアントが怒り出してしまう場面もしばしばでした。
論旨が一貫していないのは論外です。論旨の一貫性は企画書の原則であり、心してかかるべきことです。
しかし、組織のセクショナリズムやチームの中にお山の大将が複数いたりする時など、日本でもありがちなことなので注意する必要があります。
それが達成された上で、ロジカルとはどういうことでしょう?
現状分析の部分では最初、拡散思考をします。ですので、複層する事象がたくさんあり、それをそのまま並列に並べているだけだと何が重要なのかがわからなくなってしまいます。
そこで、プライオリティや因果関係を整理して見せることによって、論点が集約され脳の合点がいく。人間の頭は、そういう構造になっています。よく政府や役所でやる論点集約とはそのことを踏まえているのです。
こうして整理した企画書は反論を許しにくいのも特徴です。集約作業とは、その理屈を考えることでもあり、それが企画書に併記されているからです。
また、論点集約があると、その後の展開施策がこれに沿ってなされているかどうか、という基準を相手に与えることができます。それがまた、受け手にとってわかりやすく、説得されやすい役割を果たすのです。
一つ上の企画書の極意の3つ目は、「心を動かすストーリーがある」です。
ここでいうストーリーとは、企画書を物語風にしろということではありません。企画書のちょっとした筋書きの工夫で相手の心を動かすという意味です。
具体的な手段として、3つを挙げます。
(1)課題から戦略の部分を決然と記述する
企画書の要(かなめ)は戦略です。戦略、すなわち問題解決の考え方のところを明快につくり、決然と記述する。それがしっかりしていれば、相手の心を動かすことができるはずです。
(2)現状分析にチャンスの視点を入れ込む
現状分析の部分には、マイナス要素だけでなくプラスの要素を入れ込みましょう。例えば文脈として、「こういう悲観要素があるが、こういうポジティブな要素もある」と構成し、プレゼンするのです。相手を1回凹ませて、次に希望を述べることで人間の心は動きやすくなります。
(3)施策部分にイメージや効果を入れる
最後の施策でゴールイメージを夢想させることが有効です。
例えば、施策をビジュアル化してより夢が膨らむようにするとか、この戦略を実行することでこんな効果があるでしょう、とポジティブ効果を実証するような数字やデータを入れるなどです。
もちろん、案件によって全部入れ込むことは難しい場合もあるとは思いますが、この3つのポイントを覚えておくと何かと役に立ちます。
このようにドラマタイズの要素を取り入れる効果は何かというと、相手が自分事として捉え、共感を得られやすいことです。それに付随して記憶に残りやすいというメリットもあります。
更新:11月24日 00:05