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人口減少に立ち向かう? 日本政府が推進する「SDGsとまちづくり」

2021年10月26日 公開
2023年02月21日 更新

新谷聡美(株式会社ブレインファーム社長)

新谷聡美

SDGsとは、持続可能な開発のため2030年までに達成を目指す目標のこと。その象徴とされるカラフルなアイコンは今や目にしない日はないほどである。

そんなSDGsを日本政府は、地方創生に活用する方策を立てているという。ではどうすればSDGsをまちづくりに導入できるのか。官民連携(PPP)の活性化に取り組む新谷聡美氏に詳しく聞いた。

 

社会人として恥ずかしいかも?…ちゃんと知らない人が多いSDGs

「わが国には、大きく2つのSDGsの流れがあります」。 そう言うと、SDGsが2015年に国連において満場一致で採択されたことをご存じの方は、驚かれるかもしれません。

SDGsとは、持続可能な開発のための2030年までに達成を目指すべき目標のこと。最近、街なかでも見かけることの多い17の目標(カラフルなアイコン)に加え、それらを達成するための具体的な169の達成基準、そして、その進捗を図るための232の指標で構成されています。

ちなみに、多くの方は17のアイコンしか目にしていないので、SDGsの内容について、とても日本的な解釈をしていることがあります。例えば、"バリアフリーな環境を整備する"という場合に、SDGsの目標3の「すべての人に健康と福祉を」を掲げるケース。

日本ではいまだに「障がい=福祉」という文脈で語られることが多いので、こういう誤解が生じるのですが、実際のSDGsの達成基準には、目標3のどこにも「障がい」という言葉も、「バリアフリー」という言葉もありません。というのも、世界の常識では、「障がい=個性」なので、福祉の文脈で語るのは違和感があるからです。

では、どこかというと、目標10の「人や国の不平等をなくそう」にあります。「年齢、性別、障がい、人種、出自、宗教等に関わりなく全ての人々が社会的・経済的・政治的な能力を発揮できるようにしよう」という文脈で語られているのです。

世界の常識では、障がいの有無は、年齢や性別などと並んで語られる、単なる個人属性(つまり、個性)なんですね。こうしたケースは、日本の意識がまだまだ遅れていることを表す印象的な事例といえるかもしれません。

 

実は、見る角度でSDGsの解釈は全く異なる

さて、少し話が横道にそれましたが、日本政府が考えるSDGsには大きく2つの流れがあります。それは、内閣府版の「地方創生に向けたSDGsの推進について」と環境省版の「持続可能な開発目標活用ガイド」を比べると、よくわかります。

まず、内閣府版では、SDGsは「地方創生」と概念的に合体されています。そのため、日本全体が急速な人口減少にある中で、その影響を少しでも和らげ、地域社会の活力を維持するための方策として、地方創生SDGsが取り上げられているのです。

「地方創生」とは、地方の人口減少をくいとめるために、地域のまち・ひと・しごとを活性化させること。そのまちの特徴に応じた、経済的・社会的・環境的な視点からSDGsにつながる新しい取組を取り入れることで、持続可能なまちづくりにつなげていこう、という考え方です。

いわば、地方自治体が音頭を取ってSDGsを地域活性化のために活用しよう、という流れですね。

一方、環境省版で特徴的なのは、民間事業者(特に中小企業)向けのガイドブックとなっていることです。企業経営におけるSDGsへの対応の重要性を豊富な事例とともに解説し、「え? これ環境省の資料なの?」と思うぐらい、徹底して事業経営とSDGsとの関連性の視点から語られています。

もちろん、環境省のガイドブックですから、農山漁村と都市との循環や、省エネ・廃棄物削減や自然環境保護といった項目も重視されているものの、いかに中小企業をSDGsへの取組に誘うか、ということに力点が置かれているのが特徴となっています。

いわば、民間企業が企業活動の中でSDGsに取組むのを促そう、という流れですね。

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