高齢者の“転倒予防”も…SIXPADの「顧客体験を起点とした技術開発」

高齢者の要支援・要介護を防ぐという社会課題への貢献

SIXPADが展開しているもう1つの領域、「Healthcare・Medical」におけるユーザーは高齢者だ。

高齢者の救急搬送のうち8割は転倒によるものだそうだ。そして、入院すると筋力が衰えて、要支援・要介護の状態になってしまう、というのがよくあるパターンだという。

そこで、転倒を防ぐため、EMSによって下肢の筋肉を鍛える製品がFoot Fitシリーズだ。使い方は、両足を上に乗せるだけ。90歳以上の虚弱高齢者（認知症）の筋量増加やバランス能力の維持に寄与するというエビデンスもあるそうだ。

本記事では「エビデンス」をいう言葉を繰り返し使っているが、SIXPADがこれまでに取得したエビデンスは260件に上るという。エビデンスを重視し、実証実験を繰り返しながら開発をしているのも、SIXPADの特徴だ。

「HealthcareのためのFoot Fitシリーズの利用は、自治体などでも導入していただき、どんどん広がっています。ただ、Medical、つまり、医療機器の分野には、まだ進出できていません。進出を目指して、これからもブランドを進化させていきます」（熊崎氏）

顧客に「体験価値」を、それも継続的に提供し続ける。そのために、ハードウェアを開発し、技術も開発する。その実例として、SIXPADから学べることは多いのではないだろうか。