2021年06月18日 公開
2023年02月21日 更新
お客様が強く願っているのに、提供できていないもの。これがわかると失客を防ぐとともに、普通のお客様をファン・信者にすることも可能です。また、それを望んでいる同じようなお客様(類は友を呼ぶの類友)を新たに獲得することも可能です。
たとえば、生花の市場は右肩下がりです。しかも、購入者の中心は60代以上となっており、将来的にも厳しい状況です。このような経営環境にあるため、どの生花店も売上を伸ばすことに苦慮しています。
このような生花店(お客様)が強く願っているのに、卸売業者が提供できていないものは何でしょうか? いうまでもなく売れる商材です。
どの卸売業者も、生花全般を取り扱っており、自分のところでしか取り扱えない生花はほとんどありません。つまり、差別化ができないのです。
これよりも、少しマシなのが生花店向けの雑貨(花器やリースなど)を卸している業者です。創意工夫の余地があるからです。しかし、売れる商材を提供できているところはほとんどありません。
ニッチ戦略士養成講座の塾生・飯田章貴さんが経営する株式会社Paseo(愛知県名古屋市/従業員9名/パート1名)は、「花風水(花で風水をつくり出す)」という新しい商材を持ち込みました。
「花風水」とは、見て楽しむものだった花を、運気ごとにもっとも適した方角に、もっとも適した色の花を飾ることによって開運グッズの要素を加えるというものです。
「花風水」は商標登録されており、同じ名称を使うことはできません。また、「花風水」の商標所有者から使用権を認められており、現在のところ使用権をもっているのは同社だけです。
この商材によって、飯田さんが本格的に販売し出した2020年は3000万円の売上をつくることができました。これは生花店にとっては仕入れ値ですから、生花店(市場)側からすれば、3000万円以上の新しい商材の提供を受けたことになります。
なぜ、ベンツやBMWのような欧米車よりも高機能な日本車を低価格で売らなければならないのでしょうか? それは欧米車は「文化」を売り、日本車は「機能」を売っているからです。
ともに「価値」を売っているのですが、「文化」は嗜好の対象ですから競争にはなりません。好きか嫌いかです。ところが「機能」は比較対象が可能です。しかも、自社にできることは他社にもできます。そうなると、おのずと原価に「控えめな利益」を上乗せして販売せざるをえません。
つまり、「品質の定義」が違うのです。欧米車は自社の「らしさ・こだわり・独自性」を品質と定義しているのに対して、日本車は「正確性、精密性など」を品質としているので、特徴といえるものがありません。
というのも、他社でヒット車が出ると、ひどいときにはミリ単位まで同じ車をつくってしまうからです。
あなたの会社は、どんな「価値」を売っていますか? また、これからは「文化」と「機能」のどちらを売りたいと思いますか? これらを決めたうえで、どんな状況でも変えたくないものをあげてみてください。
「変えたくないものは何か?」と質問しましたが、何でもいいわけではありません。たとえニッチな市場であっても、変えたくないあなたの会社「らしさ・こだわり・独自性」を評価してくれる人がいないとビジネスとして成り立ちません。
そのためにも、「対象とするお客様」を特定し、そのお客様たちが評価してくれる根拠を言葉化するのです。言葉化しないと、それを検証することもできないからです。
更新:11月24日 00:05