2021年01月13日 公開
2023年02月21日 更新
新型コロナウイルスの感染拡大、それに伴うリモートワークの普及によって、一般化されつつある「リモート営業」。対面式とは違って、新規のアプローチは「コールド・メール」と呼ばれる営業メールが、商談への第一歩となる。
しかし、メールからZoomでの営業につなげるのは難しく、営業部門がノルマと対峙し、孤立を生み出しかねないという。そこで重要なのが組織で施策を打っていくこと。具体的にどのような方法が有効なのだろうか。(取材・構成:池口祥司)
※本稿は、『THE21』2021年1月号(PHP研究所)より、内容を一部抜粋・編集したものです。
これまで交流のなかった見込み客にコンタクトをとる手段の、「コールド・メール」。このメールの返信率を上げるためには、いくつかのパターンを試してみることが重要です。
ウェブサービスでよく行なわれている「ABテスト」のように、AパターンとBパターンのメールを送り、どちらの返信率が高いかを調べ、返信率の高いパターンを営業部門で共有するのです。それだけで、営業部門全体の生産性が劇的にアップするでしょう。
これまで、「できる営業職」のノウハウは個人のスキルとして蓄積されるだけで、組織全体で共有されることがあまりありませんでした。
営業成績が査定や賞与に影響することや、チーム全員の成績がアップすると個人の成績が目立たなくなることなど、様々な理由があるのでしょうが、これからの時代は、組織の力で戦わなければ生き残るのが難しくなるでしょう。
また、リモートワークが主流になると、営業職たちはノルマと対峙するばかりで、孤独感が増してしまう危険もあります。それを解消し、チーム全体のモチベーションをアップさせるためにも、組織全体で様々な知見を共有することが重要になっています。
メールに反応があったら、次は電話をかけるステップになります。
電話では、相手の関心事や、どのような課題を抱えているかをヒアリングしましょう。その際のポイントは、長々と話をしないこと。長くても10分以内で済ませ、次回の電話のタイミングを確認したり、ウェブ会議での打ち合わせを提案したりします。
ここまで来ると、いよいよTeamsやZoomなどを使ってのウェブ会議になりますが、対面営業のように、その場の雰囲気を手がかりに臨機応変に商談を進めようとするのは危険です。目的が曖昧、あるいは場当たり的な進行という印象を与えてしまうと、一瞬で信頼を失ってしまうからです。
そうしたことを回避するために、対面以上に入念な事前準備が求められます。
一方、ウェブ会議システムを使うことにはメリットもたくさんあります。
まず、画面共有機能を使って、必要な資料を瞬時に映し出すことができます。また、相手に気づかれることなく、手元に用意した資料を見ながらプレゼンをすることもできます。
あるいは、画面に映らない位置に上司が同席し、スマホなど、ウェブ会議システム外のチャットを使って、「次はこの話をしてみよう」「価格はここまで下げてもいい」といった指示を出すことも可能です。
商談全体の流れについては、「POINT」と呼ばれる考え方を意識してください。
最初に話の目的(Purpose)を明確にし、概要(Outline)を説明したあと、お客様の意見を聞き(INput)、次の話題につなげる(Transition)というものです。
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更新:11月24日 00:05