2020年03月11日 公開
2023年02月21日 更新
では、会話で相手の時間をムダにしないためには、どのような点に注意するとよいのでしょうか。
「話が長いな」と思う要因には、時間によるストレスと、話の内容によるストレスがあります。そこで、この二つの観点から考えてみたいと思います。
まず、話の内容について。
仕事の場面では特に、話すべき内容を事前に準備しておくとよいでしょう。例えば、
「今日は〇〇さんに、この件に関するお考えをうかがいたいと思っています」
のように、単刀直入に本題に入り、雑談に頼らないようにします。
また、「私は……」と自分を主語にするのではなく、相手を主語にした内容を意識します。例えば、
「〇〇さん、お正月休みはイタリアに旅行されていましたね。美術館巡りはいかがでしたか?」
といった具合です。
相手を主語にするためには、相手の状況に思いを馳せてみるとよいでしょう。相手の仕事内容や、置かれている立場を想像してみるのです。オフィス以外の場所で会うなら、「今日はどちらから来てくださっているのだろう」とか、繁忙期なら「お忙しい時期にお時間を取ってくださったんだな」といったことも想像できます。相手に憑依するくらい相手のことを想像すれば、そんな相手と面会できたありがたみが倍増し、自然と相手を主語にした会話になります。
かといって、自分のことを話してはいけない、ということではありません。自分の意見を堂々と話すことも大切です。
その場合は、自分が話す時間を意識します。話し始めたら、頭の中でストップウォッチを押して秒数を測るのです。私の場合、仕事なら3~5秒で結論を伝えるようにしています。もし、相手が「もっと聞きたい」と興味を示したら、プラス10秒で説明します。そして、
「〇〇さんはどう思われますか?」
と相手に会話のバトンを戻します。15秒以上、一人で話し続けないことを目安にするとよいでしょう。
時間に関しては、もう一つ、自分と相手が話す比率も重要です。
仕事なら、自分が話すのは全体の1~2割で、残りの8~9割は相手に話してもらいましょう。プライベートでも、自分ばかりが話してしまうと、友人としての信頼や、「また会いたい」と思わせる魅力を確実に失ってしまいます。良好な関係を維持するには、「親しき中にも礼儀あり」と考えて、自分が4割で相手が6割くらいの比率がいいだろうと思います。
大切なことは、相手が何を求めているかに敏感になって、それ以外の話をしないことです。よかれと思って話したことも、それを相手が求めていなければ、疎まれてしまいます。
《取材・構成:前田はるみ》
《『THE21』2020年3月号より》
更新:11月22日 00:05