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協調性がなくても会社に必須!「イノベーター人材」を活かす方法

2020年03月23日 公開
2023年02月21日 更新

各務晶久(グローディア代表取締役)

ムダ業務を象徴するハンコだらけの稟議書

業務のスピードを落とす要因が、ムダな業務です。これまで当たり前のように重視されてきた管理業務には実はムダが多く、中でも多くの職場に見受けられる問題点が「責任回避のための意思決定の重層化」です。

例えば、なんにでも複数部門の何人もの承認が必要な稟議書を回す必要があったり、他部門の人に仕事を頼むために上司の上司を経由しないといけなかったり……といったケースです。

また、情報共有を掲げて開かれている多くの会議も、ムダ業務の代表格。仕事効率アップの「手段」であるはずの会議が、いつしか会議を開くこと自体が「目的」化してしまっていることが多く見受けられます。

これらのムダな業務は、大胆にすべてやめてしまってもなんら業務に支障がないことがほとんどです。実際に、私がコンサルタントとして関わったケースでも、ルール変更や業務の廃止で、困ったことは一つも起こっていません。

例えば、稟議書をやめて縦の決裁のみ残すようにすれば、意思決定がスピーディーになるだけでなく、責任の所在も明確になります。

 

ミドルマネジャーは部下の承認欲求を満たせ

こうした変革は、トップを中心にしないと難しいことも多いものです。しかし、現場のミドルマネジャーにも、部下である人材の流出を防ぐためにできることがあります。

彼らのモチベーションを高めるポイントは二つ。

1 仕事を通じ、成長を感じさせること
2 承認欲求を満たすこと

1の「仕事を通じ、成長を感じさせる」ためには、小さな成功体験を積ませることが必要です。そして2の「承認欲求を満たす」ためには、その小さな成功に対してうまく褒めること。成功したときほど、なぜうまくいったのかを聞いてあげることが大切です。自分の成功体験を話すことで「次もやれるぞ」と思え、内発的動機付けが強化されるのです。

部下の内発的動機付けを強化するには、1自律性2有能性3関係性という三つの欲求を満たすことが有効です。難しいのが3で、重要だと思っている人に認められてこそ意味を持つため、ミドルマネジャーは部下から「この人に言われるから嬉しい」と尊敬される人物でいなければなりません。

逆効果になるのが、報酬や罰をちらつかせること。「ボーナスの査定にプラスになるよ」など、マネジャーがつい言ってしまいがちかもしれませんが、これも内発的動機づけには逆効果です。また、部下が自発的に取り組んでいることに対して「●日までにお願い」などと後から期限を設定するのもNGです。

日常業務レベルの改善はミドルマネジャーの守備範囲ですので、改善が進まないときには、「部下に任せることができていないのでは?」「照れから、褒めることができていないかもしれない」などと、自分のやり方を見直すことをお勧めします。

 

<『THE21』2020年3月号より>

著者紹介

各務晶久(かがみ・あきひさ)

グローディア代表取締役

1969年生まれ。経営・人事コンサルタント。特定非営利活動法人人事コンサルタント協会理事長。川崎重工、日本総合研究所を経て独立。同志社大学卒、関西学院大大学院で経営学修士(MBA)取得。中小企業診断士。大阪市人事に関する専門委員、大阪市特別参与、大阪商業大学大学院非常勤講師などを歴任。著書に、『職場の紛争学』(朝日新書)など。

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