重要なのは、「相手が自発的に出してきた情報について質問する」ことです。先ほどの会話例の中で言えば、
「思ったよりも釣れたので、おすそ分けした」
「(カラオケに)最近はあまり行かない」
というところに食いついて、質問を続ければよかったのです。
相手が自発的に出してきた情報とは、その会話の中での「新しい情報」です。聞いてもいないことを自ら語り出しているわけですから、そこを掘り下げてあげると、まるで温泉が湧わ き出るように、相手が勢いよくエピソードや想いを語り出すことが多いのです。たとえば、次の例を見てください。
A 「ご出身は、どちらですか?」
B 「私、新潟なんですよ。雪が多くて、学校の授業でスキーがありました」
A 「そうなんですね! 今も、滑ってるんですか?」
B 「そうですね。毎年、冬になるとスキーをやってます」
A 「毎年行かれているんですね。それはご家族と? それともご友人と?」
B 「昔、子どもが小さい頃は、家族でよく行ってましたね。でも、子どもが大きくなって、私とは一緒に行ってくれないんですよ。なんで、今はスキー仲間の友達と、滑りに行ってます」
A 「そうなんですね。スキー仲間のご友人は、どんな方なんですか?」
B 「実はスキー仲間と言ったんですが、これが結構本格的でして、アマチュアのチームに入ってるんですよ。だから、同年代に比べて、身体も鍛えている方だと思います(笑)」
A 「だからですね! 身体、鍛えていらっしゃる感じがすると思っていたんです!」
B 「そうなんですよ。冬以外も、ジムに通ってガッツリ筋トレしてまして……(以下、止まらない勢いで話し出す)」
この会話例の中で、Aさんは「学校でスキーの授業があった」「今でも毎冬、スキーをしている」「スキー仲間の友人がいる」「アマチュアチームに属し、身体も日々鍛えている」という新情報が出るたび、それを掘り下げる質問を重ねています。
そうすることで、相手の情報をどんどんと引き出し、うまく深掘りすることで雑談を盛り上げていくのです。
このように、話題を振るときは、相手が自発的に出してくる情報に着目しましょう。ここで新情報が出てこないようなら、潔く次の話題を振ればいいのです。
それを繰り返すうちに、どこかで新情報を引き出し、話が盛り上がるきっかけをつかめるはずです。難しいと思われるかもしれませんが、何度か意識して雑談をすれば、
「おっ、自発的に情報を出してきたな。ここは深掘りしてみよう」
「なかなか新情報を言わないな。次の話題に行くか」
という判断がとても自然にできるようになります。失敗してもいいので、まずはこの考え方で相手の話を聞いてみてください。
更新:12月27日 00:05