2019年12月23日 公開
2022年02月01日 更新
2019年4月から順次始まった「働き方改革」関連法案の施行で、時間外労働の上限規制が始まりました。
ですが、この間、「早く帰れるようになった」のはいいとしても、残業代が減少した会社員から、「その分お小遣いが減らされた」などの恨み節を聞く機会が増えました。
その代わりと言っては何ですが、「副業を認めてあげようよ」という展開になっています。
それでもまだ、副業を禁止している企業が多いのには、理由があります。
労働基準法では、「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する」(労働基準法 第三十八条)とされており、本業と副業で雇い主が異なる場合でも、雇用関係がある限りは通算すると解釈されることになっています。
つまり、1日8時間を本業で働いて、会社帰りに別の会社で働くと(雇用関係あり)、別の会社では残業代を支払わなくてはならなくなり、本業の会社側も、通算された労働時間を把握しなければならなくなるのです。
退社した社員の労働時間を把握するというのは、手続きが非常に煩雑です。ほとんどの企業が就業規則で兼業や副業を禁止しているのは、そういった理由もあるのです。
そうした中で、2019年5月に行われた規制改革推進会議の「働き方の多様化に資するルール整備」の中で、規制の変更案が出されましたので、兼業・副業の労働時間を通算する条項は変更される方向にあるといえるでしょう。とはいえ現在のところ、前述のような理由に加え、機密情報の漏洩など会社側としては何か不利益なことが起きないかという懸念を持っているのです
逆に言えば、「副業禁止」とは、決して従業員に忠誠心を誓わせようとするものではないのです。むしろ、「もはや終身雇用は守れない」ということで、会社側がキャリアの自立を社員に訴えているような時代です。個々の社員がどのような稼ぎ方をしようが、会社に迷惑さえかけなければいいというのが、会社側の本音です。
つまり、建前として会社は副業禁止としていますが、社員が業務時間外に何をしているかなど管理したくないですし、社員側も自身の稼ぎ方をいちいち会社に知らせたくないはずです。
かくして、社員は「会社には内緒で」というか「別に知らせる必要などない」と思い、会社は(面倒なことになりたくないので)無理に知りたいとは思わないという利害が一致します。会社に直接的な迷惑が掛からないという前提であれば、「隠れキリシタン」状態で副業をするほうが、企業にとっても、社員にとっても都合がいいということになるのです。
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更新:11月23日 00:05