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「ほったらかし」でOK!初心者でもできる「投資信託」の買い方

2019年11月14日 公開
2022年05月25日 更新

篠田尚子(楽天証券経済研究所ファンドアナリスト/AFP)

今、買うべき銘柄はこれだ!

超低金利の今の時代、銀行の定期預金に預けていてもお金は増えない。将来に備えた資産形成として「投資」という選択肢があるが、「失敗しにくい投資方法」はないものだろうか。楽天証券経済研究所でファンドアナリストを務める篠田尚子氏が勧めるのは、「投資信託」だ。そこで、投資信託の賢い選び方や失敗しないための注意点をうかがうと共に、お勧めの投資信託や、タイプ別に理想のポートフォリオを教えてもらった。

 

「見切り発車」で大丈夫!少額から投資信託を始めよう

 金や国債、FXなどといった様々な金融商品がある中で、私が投資信託をお勧めする理由は、購入後は「ほったらかし」にできるからです。

 資産運用というと、ハードルが高いと感じるかもしれませんが、投資信託は、ファンドマネジャーと呼ばれる運用のプロが、投資家から集めた資金を株式や債券などの投資先に分散投資し、その成果を投資家に還元する商品です。

 運用をプロに任せられるので、毎日株式や為替の動向を気にする必要はありません。

 とはいえ、相場が下落したときのリスクが怖いという人は少なくないはず。そうした方にぜひ実践していただきたいのが、毎月一定額の投資信託を自動で買いつける「積立投資」です。

 積立投資は定額で積み立てていく長期戦なので、短期的な基準価格(投資信託の値段)が下がっても、長い目で見れば平均買付単価をならすことができます。これにより、リスクを軽減することができるのです。

 ただ、長期戦であるが故に、効果を実感するまでに3~5年程の時間がかかります。そのため、とにかく早く始めることが大切です。「時間を味方につける」と言い換えてもいいでしょう。 

 今40歳であれば、60歳までに20年もあります。少額から始めても数十年も運用すれば、バカにできない金額に成長します。

 多少、見切り発車でも構いません。細かな設定は後から変更できます。まずは少額から始め、最終的に年収の20%を目安に投資にまわすスタイルで始められてみてはいかがでしょう。

 

最初はバランス型を1つだけから始めよう 

 さて、投資信託にはどのような種類があるのでしょうか。

 運用方法の違いでいえば、「インデックス型」と「アクティブ型」の2種類があります。インデックス型は、日経平均やニューヨークのダウ平均といった指数に連動した運用成果を目指すのに対し、アクティブ型はそれを上回る運用成果を目指します。

一般的に、インデックス型よりもアクティブ型のほうがハイリスク・ハイリターンだと思われがちですが、一概にそうとも言い切れません。

 インデックス型は、市場環境が悪化すれば、同様に成績も悪化しますが、アクティブ型は、ファンドマネジャーが市場の変化に応じて銘柄を入れ替えるぶん、そうした状況に対処できるので、リスクを抑えているとも言えるのです。

 ただし、そのぶん運用手数料は、高めに設定されています。

 これは、どちらが優れているというわけではなく、国内株式か海外株式など、資産のタイプ別に使い分けることが重要です。

 例えば、国内株式や国内リートを扱う投資信託は、アクティブ型に優良なものが多いですし、海外の株式や債券リートを扱う投資信託にはアクティブ型で優良なものが少ないのです。

 リスクを抑えるには、こうした特徴を踏まえ、値動きの異なる投資信託を保有すると良いでしょう。ただ、複数の投資信託を持つのは、管理が面倒くさい。

 そこで、複数の資産を予め組み合わせている「バランス型」を1つだけ選ぶという方法もあります。特に、どんな投資信託を選べばいいのかわからない初心者にはお勧めです。

 

節税効果の高い制度を利用すべし

 投資信託を通じて資産運用を始めるなら、税負担を軽減できる「確定拠出年金(iDeCo)」や「少額投資非課税制度(NISA)」の制度を活用しましょう。

 iDeCoは、投資信託や預金を自分で選び、毎月一定額の掛金を積み立てて運用する私的年金です。①掛金の全額(企業年金がない会社員の場合は月2万3千円まで)が所得控除となる、②運用で生じた利益が非課税、③年金を受け取る場合にも控除が受けられる、などの節税メリットがあります。

 NISAは、株式や投資信託を自分で選んで投資すると、利益が非課税になる制度です。非課税となる期間や年間投資上限額の違いから、「一般NISA」と「つみたてNISA」の2種類があり、どちらか1つを選ぶ必要があります。

 iDeCoとNISAの両方を活用するのが理想ですが、どちらかを優先するならiDeCoから始めましょう。iDeCoには、60歳まで引き出せないため、意思が弱くても続けられる強制力があります。

 仮にiDeCoで毎月2万3000円、つみたてNISAで毎月3万3000円、合計で毎月5万円強を20年かけて運用すれば、定年までに2000万円を貯めることはそう難しくはないでしょう。

 なお、投資信託を購入後は、何もしないのが鉄則。価格が上下するたびに見直すほうが、むしろ運用成績は悪い傾向にあります。どんと構えて、「ほったらかし」にするのが投資信託で勝つための一番の方法です。

 

取材構成 前田はるみ

著者紹介

篠田 尚子(しのだ・しょうこ)

楽天証券経済研究所ファンドアナリスト/AFP

慶応義塾大学法学部卒業、早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。国内銀行において個人向け資産運用関連業務に従事後、ロイター・ジャパン(現トムソン・ロイター・マーケッツ)を経て、2013年に楽天証券経済研究所に入所。各種メディアで投資信託について多くのコメントを手がけるほか、全国各地で資産形成セミナーの講師を務める。『貯金も節約もできない人でもお金が増える方法』(かんき出版)など著書多数。

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