2019年09月27日 公開
2022年11月14日 更新
誰もが一度は聞いたことがあるマンガの一つと言っていい『NARUTO-ナルト-』、「あー、あの忍者がドンパチやるやつでしょ」と毛嫌いして読んでいない方も逆にいるかもしれない『NARUTO-ナルト-』。
そう、今やラーメンにたまに入っている、あのちっこいやつより有名な日本を代表するマンガです。
さて、そのナルトは、忍者同士がバトルするアクションが素晴らしいことは間違いありません。しかし、「一歩上からマンガを読んでるんだ」という私のようなこじらせた大人が語りたいエピソードが「サスケとイタチ」のエピソードです。
以下、かなりネタバレになりますが、「うちはサスケ」は主人公・ナルトのライバルとして少年時代から登場し、「一族の復興と、ある男(イタチ)を殺すこと」が目的であるとクールに話します。ませた子どもですよね。
それもそのはず、過去にサスケは自らのうちは一族を実の兄である「うちはイタチ」に残らず殺されてしまっていたのです。
なぜ、兄のイタチは自らの一族を殺したのか。
それは、イタチが部分最適よりも全体最適を優先させた結果でした。
うちは一族は、「木の葉の里」という忍者の国のような組織に属していながら、歴史的な経緯から、はじきものにされていたのです。江戸時代で言うと、「木の葉の里」が幕府で、「うちは一族」が藩、かつ外様大名という感じでしょうか。
イタチは、能力が高い超逸材だったので、幕府からは自分の藩を監視するスパイとして活動させられ、逆に藩からは、幕府の動向を監視するように「二重スパイ」として活動させられます。
そして、藩がついにしびれを切らして、クーデターを起こすというところまで来たとき、イタチは部分最適である藩=うちは一族を皆殺しにしてでも、全体最適である=里の存続を選択するのです。恨まれるような言葉を投げかけて生かした、最愛の弟・サスケだけを残して……。
サスケやイタチがその後どうなったかは、読んでいただければと思いますが、私は読後に「年1で会う正月にもたいして話さない実の兄」を愛おしく思ってしまったくらいです。「組織と個人」「親兄弟」との関係は様々な形があれ、誰もが直面する問題ではないかと思います。
「何のために仕事をするのか、誰のために生きるのか」、『NARUTO-ナルト-』はそういったことを突きつける大人なマンガでもあります。(I)
更新:11月22日 00:05