2019年08月02日 公開
2023年05月16日 更新
編集という仕事をやっているとたまに、いや、結構しばしば「勝手に原稿とか作ってくれるソフトとかないのかなあ」「校正をしてくれるAIがないのかなあ」なんて思ってしまいます。
そんな自分に一筋の光と絶望を味わわせてくれるのが本書です。
なまけもののイタチたちが、なんでもできる機械を作って楽をしようと考える。ただ、そのためには、その第一歩である言葉を理解する機械を作らなくてはならない。ただ、これがなかなか一筋縄ではいかず……。
そんなイタチたちの悪戦苦闘するさまを通じて、機械(コンピュータ、あるいはAI)が言語を理解するとはどういうことかが描かれる、「大人の絵本」といった風情の本です。
音とは何か、意味とは何か、単語の切れ目とは何か……わかっているようで実はわかっていないことばかりで、人間はこんな複雑なものをスイスイと操っているのだと、改めて思い知らされます。
そして、そんな言語をAIでどう扱うかについて、どんな取り組みが行なわれているかもわかります。
それが本書のメッセージなのですが、ちょっと違うことも考えました。
本書のイタチたちはとにかくルーズで刹那的で、根気の必要な仕事はすぐに放り出し、ちょっとでもうまくいったら仕事を放り出して遊びにいく。とにかくダメ人間、というかダメ動物なわけです。
でも、だからこそなんでもできる機械を作って楽をしようと考える。
下手に真面目な人は、そんなこと思いつきもしないでしょう。
つまり、楽をするために頑張るという発想は、来るべきAI時代には意外と大事なのではないか……。
そんなわけで、働かないイタチの心を持ってこれからも仕事をしていこうと思った次第です。それじゃ今と変わりませんが。
執筆:Y村
更新:11月22日 00:05