2019年07月31日 公開
2023年03月02日 更新
いわゆる「営業の強い会社」では、新人はOJTの段階で、育成担当者や上司から顧客の意思決定のプロセスと判断基準のパターンが教え込まれ、それらのパターンの中から独力で推測ができるように指導される。
今回はその中身を共有したい。
実は、顧客の意思決定プロセスには業界ごとの傾向や類似企業との共有性がある。そのパターンをあらかじめ知っていれば、顧客ごとの意思決定プロセスや購買基準が推測できるようになり、案件化率、受注率とも著しく向上する。
学生時代、中間試験や期末試験で、あらかじめどういう問題が出るか予想できた時に高得点が取れた経験があると思うが、その原理と全く同じだ。
以下、その代表的な6パターンを紹介する。
1 担当者が数社からの情報を聞いて3社程度に絞り、提案と見積りが提出された段階で部課長が判断し、役員会や常務会で決裁 →現在大手企業ではもっとも多い
2 稟議
合議制である日本企業を象徴してきた意思決定プロセスで、担当者が稟議書を書き、課長級→部長級→役員が順次、決裁していく仕組み
3 入札
電子入札を含め最低入札額の売り手が選択される仕組みなので、顧客が介在する余地は少なそうだが、事前に様々な部門の声を多角的に聞き、総合的な判断で入札額を決める方が、受注率が高まる。
4 オーナー社長の鶴の一声
いくら部課長に気に入ってもらっても、社長の鶴の一声でひっくり返されてしまうことも少なくない。逆に社長から信頼されると継続的に取引が繰り返されるため、社長へのアプローチが必須。
5 決裁権が権限移譲されている(例:100万円までは担当部長の決裁)
権限移譲の進んだ大手企業では、100万円程度の決裁権を部長にまで下しているケースも多い。案件ごとの役員会での承認は不要なので、部長の志向や好みに沿えば受注率は向上する。
6 部門に予算化されている
「採用に関する予算1億円」「社員教育に関する予算5000万円」といったようにすでに予算化されているケースでは、上記1)に近い意思決定プロセスにはなるものの、すでに役員会でトータルの予算は決裁されているため、個別の発注は部課長の決裁で済む。
更新:11月22日 00:05