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医学博士号&MBAを持つ医師が教える「戦略的疲労予防習慣」

2019年07月31日 公開
2023年03月02日 更新

猪俣武範(医学博士)

 

間食にはアーモンドチョコレートを

 

 チョコレートは栄養価が高く、食物繊維も豊富。含有成分の一つであるGABAには、脳や脊髄の神経の興奮を抑えて、イライラの解消や睡眠の改善を促す作用があります。また、ナッツ類はセロトニンを生成する「トリプトファン」というアミノ酸が豊富。ですから、両者が一緒になったアーモンドチョコレートは間食に最適。ただし、糖分の摂りすぎにはくれぐれも注意すること。チョコレートのカカオの比率が高いものを選んで、食べすぎないようにしてください。

 

お酒を飲むときは「つまみ」に注意

 お酒は「慣れれば強くなる」というのは間違い。代謝が速くなるだけで、アルコール許容量は変わりません。それどころか、年齢とともに肝臓は縮むので、酒量も少しずつ減らすのがベター。とはいえ、やめてしまう必要はありません。ただし、つまみには注意しましょう。肉や揚げ物よりも魚やチーズ、納豆を。渇きものはナッツ類に。加えて野菜を意識的に摂れば、生活習慣病の予防になります。

 

朝食のメニューは「卵かけご飯」が最強

 

 朝食は毎日摂ったほうがベター。体内時計が目覚めて、規則正しいリズムがもたらされます。「忙しい朝にそんな時間はない」という人には「TKG」=卵かけご飯が強い味方に。ご飯、卵、醤油のみで一瞬で完成し、すぐ食べられます。卵に含まれるトリプトファンは心を安定させるホルモンであるセロトニンを作り出すので、日中の仕事の精度がアップし、疲労の予防や回復効果も期待できます。

 

「塗り絵」などの単純作業でプチ瞑想を

 近年、マインドフルネスの好影響が科学的に証明されつつあります。緊張緩和、肥満抑制、脳の活性化、胃腸の状態の改善など、様々な効果があります。お寺でするような本格的な瞑想でなくてもOK。電車内でボンヤリしているとき、周囲の音が気にならない状態になりませんか? それも軽いマインドフルネス状態です。単純作業でも同様の効果が得られます。例えば「塗り絵」。自律神経が整い、色によるヒーリング効果もあります。

 

「ハイパワーポーズ」でストレスが減る

 的確な判断や勇気の源となるホルモンのテストステロンを増加させ、ストレスホルモンのコルチゾルを減らす、最も簡単な方法――それは「ハイパワーポーズ」をとることです。足を肩幅に開き、両手を腰に当て、胸を張りましょう。これを1日に2分間行なうだけで精神的疲労が取り除かれ、自信が湧きます。毎朝、鏡の前で出勤直前に行なったり、大事なプレゼン前にトイレで行なったりするのがいいでしょう。

 

《取材・構成:林 加愛》
《『THE21』2019年7月号より》

著者紹介

猪俣武範(いのまた・たけのり)

医学博士

1981年、千葉県生まれ。茨城県育ち。2006年、順天堂大学医学部医学科卒業。08年、東京大学医学部附属病院初期臨床研修医修了。12年、順天堂大学大学院医学研究科眼科学にて医学博士号ならびに眼科専門医取得。12年からハーバード大学医学部眼科スケペンス眼研究所へ留学。留学中にはボストン大学経営学部Questrom School of BusinessでMBA取得。15年より順天堂大学医学部附属順天堂医院眼科助教、16年4月より病院機能管理室兼務、同年11月より戦略的手術室改善マネジメント講座助教を併任。日本の医療従事者の海外留学を支援する(一社)JGMS(Japan Global Medical Career Support)を設立。16年に(一社)IoMT(Internet of Medical Things)学会を設立し、代表理事を務める。趣味は硬式テニス。著書に『目標を次々に達成する人の最強の勉強法』『働く人のための 最強の休息法』(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。

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